「貯蓄」というと中には「預金」や「貯金」と同じと考える人もいるのではないでしょうか。実は「貯蓄」の中には株式投資も含まれます。「え?!株式投資も貯蓄なの?」と思う人もいるのではないでしょうか。そこで今回は他人には聞きにくい「お金」の話、その中でも貯蓄について公開されているデータをもとに見ていくことにしましょう。
目次
平均貯蓄で1800万円を超えるのは本当か
総務省は平成30年5月に二人以上の世帯に関して調査をした「家計調査報告」[貯蓄・負債編]の中で「貯蓄現在高」というデータを発表しています。
総務省がいう「貯蓄」はいわゆる「貯金」とは少し定義の幅が異なり、注意が必要です。ここでいう「貯蓄」には銀行などでの預金や郵便貯金などが含まれる一方、保険をはじめ株式や投資信託といった有価証券も含まれています。保険に関しては積立型生命保険や損害保険の一部が含まれます。
そうした内容の中で、2017年の二人以上の世帯における1世帯当たり貯蓄現在高はなんと1812万円!
「え?!みんなそんなに持っているの?」という声が聞こえてきそうです。しかし、この調査結果はあくまでも「平均値」での話です。学校の授業でも平均値を使うことが良くありますが、この「平均値」は注意をしてみる必要があります。
「平均値」は極端に大きな値や小さな値があったりするとそうした一部に過ぎないかもしれない数値に引きずられ全体像が見えにくくなったりすることがあります。そこでデータを小さい順(もしくは大きい順)に並べ、真ん中に位置する数値を取り出す「中央値」を利用することがあります。今回の調査における「中央値」は1016万円になります。
預貯金はどれくらい持っているのか
一般的には保険や有価証券を貯金と考える人は多くないと思います。そこでここでは銀行などに預けている預金や貯金だけを取り出してみてみましょう。
貯蓄現在高のうち「通貨性預貯金」及び「定期性預貯金」を加えた金額は1154万円となります。貯蓄現在高の1812万円のうち預貯金は約6割程度を占めることが分かります。
こうしてみると貯蓄のうちかならずしもすべてが貯金というわけではないことがお分かりかと思います。皆さんも現在の貯金に有価証券や保険などを加え、改めて貯蓄として今回の金額と比較すると違って見えてくるのではないでしょうか。
子育て世代の平均貯蓄高はいくらか
「全体の世帯でのイメージはつかめたのだけれど、これから子育てをする世代とリタイアした世代では貯蓄残高の平均値も変わってくるのではないのか」という指摘もあるでしょう。
たとえば、結婚をし、子供が一人生まれ、もう一人子供が欲しいなと考えている30歳代の世帯があるとしましょう。その世帯が今後、子供が増え、大きくなることを考えてマイホームが欲しいと考える世帯が出てきても不思議ではありません。
マイホームを購入するにあたっては、金融機関から住宅ローンとして借入をする人も多いと思います。その際には住宅ローンの頭金として貯金などある程度の資金を貯めておかなければと感がる方もいるのではないでしょうか。では、そうした世代はどれくらいの貯めているのでしょうか。
先ほどの総務省の調査によれば、40歳未満の二人以上の世帯では貯蓄現在高が602万円となっています。やはり比較的若い世代の貯蓄は全体と比べて多くないということが分かります。
子育て真っ盛りの40歳代ではどうでしょうか。同調査によれば、40~49歳の貯蓄現在高は1074万円となり、40歳未満の602万円から大きく増加しています。世帯主の年齢も上がり年収も増える世帯もあるでしょうし、子育ての手が離れることでその費用も少なくなってくるからでしょうか。
シニア世代、高齢者の平均貯蓄高はいくらか
子育てが一段落しつつある50歳代、定年退職を迎える人が多い60歳代、リタイア世代といえる70歳以上はどの程度の貯蓄を持っているのでしょうか。
50~59歳では1699万円、60~69歳では2382万円、70歳以上では2385万円となっており、年齢を重ねるにつれて貯蓄が多くなっていることが分かります。50歳代では世帯主の年収が上がることもあるでしょうし、60歳代では退職金を手にすることなどが理由かもしれません。
もっとも、マイホームの住宅ローンも支払い終わり、また子育てにかかわる費用もかからなくなるからということもあるでしょう。いずれにせよ日本は年齢を重ねることにより貯蓄が増える傾向になるようです。
まとめにかえて
株式投資も含まれる貯蓄。その貯蓄の平均額といっても年齢によっても異なりますし、貯蓄の中で預貯金としてどれくらいを持っているのかも異なってきます。世帯の家族構成、働く者がいる世帯かそうではないか、持家世帯か非持家世帯か等によって貯金ができる環境かどうかも異なってくるのはある意味自然でしょう。こうした背景を踏まえたうえで、株式投資への割り当ても考え始めてみるのはいかがでしょうか。はじめはみんな株初心者であることには変わりがありません。