最も一般的な「信用買い」の簡単な例を見ていきます

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目次

信用買いのキーワードは「レバレッジ効果」

今回は、信用買いの具体的な売買のうち、最も簡単で分かり易いパターンを説明していきます。信用買いの最大のキーワードは「レバレッジ効果」です。皆さん、この言葉を覚えていますか? 信用取引では、証券会社から資金を借りることで、自己資金の約3倍(正確には3.3倍)までの取引が可能になると説明しました。これを「レバレッジ効果」と呼んでいます。正式な意味は「テコの原理」であり、つまり、「小さい力で大きな効果をもたらす」という意味です。小学校の理科の時間で勉強した人も多いのではないでしょうか。

手元資金30万円で100万円の買付けが可能に

さぁ、具体例で説明しましょう。今、皆さんの手元に30万円の投資資金(手元資金)があると想定して下さい。現在の株式市場は、投資単元株式数が100株になっている銘柄も多いため、30万円の手元資金があれば、相応の株式投資が可能です。ただ、現物取引では30万円を超える売買はできませんし、現実的には、投資対象となる銘柄も限られてきます。ところが、信用取引ならば、この手元資金30万円を委託保証金として差し入れることで、100万円までの買付けが可能になるのです。100万円の売買ならば、買付け対象銘柄もかなり広がるでしょう。

好業績が期待できる電機メーカーA社を信用買い投資

ここでは、簡単な例として、電機メーカーA社への投資を考えてみます。A社の投資単元株式数は100株です(100株単位で売買できます)。今、A社の株価が1,000円だとしましょう。A社は新製品の売上も順調で、好業績が期待できます。皆さんが“A社の株価はもっと上昇する”と考えた場合です。現物取引だと300株しか買付けできませんが、信用買いならば1,000株の買付けが可能です。皆さんはこのA社株を、信用買いで1,000株買い付けた(投資した)とします。

A社の株価が上昇すれば、現物取引より大きなリターン

株価が思惑通りに上昇した場合、例えば、株価が10%上昇して1,100円になり、そこで売却したとします。現物取引ならば+3万円の利益ですが、信用取引ならば+10万円の利益になります(注:証券会社に支払う金利等がありますので、実際には+10万円よりその分少なくなります)。同じ手元資金30万円で、投資リターンが3倍以上になるのです。信用買いで買付けた銘柄が値上がりすると、従来の現物取引よりも大きなリターン(利益)が得られます。正しく、レバレッジ効果です。

図表1 信用買いで株価が上昇した場合

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株価が下落した場合は、現物取引より大きな損失を被る

ところが、株価が思惑通りに上昇せずに、逆に、下落した場合はどうでしょうか? 例えば、株価が▲10%下落して900円になった時、そこで売却したとします。現物取引ならば▲3万円の損失ですが、信用取引ならば▲10万円の損失になります(注:証券会社に支払う金利等がありますので、実際には▲10万円よりも損失額が多くなります)。既に説明したように、信用取引には決済の期限があります。現物取引ならば、“株価が回復するまでじっと我慢する”ということが可能ですが、信用取引では、必ず決済しないといけません(制度信用取引なら6ヶ月以内)。

図表2 信用買いで株価が下落した場合

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信用取引はリスクが大きいと言われる理由がお分かり頂けましたでしょうか? 次回は現物取引にはない取引となる「信用売り」について具体的に見ていきます。

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