プロの投資家と同じ定量分析を個人投資家がするのは難しい
「存在感を増す女性投資家」では、株式投資における女性個人投資家のプレゼンスの高まりを説明しました。その中で、女性のファンドマネージャーが結構多いという紹介もしました。そもそも、みなさんの中には、資産運用のプロであるファンドマネージャーや証券アナリストという存在に対して、非常に縁遠いイメージをお持ちになる方も少なくないと思われます。確かに、機関投資家などが行っている調査や分析の一側面は、業績や業界の流れを細かい数字で把握する定量分析であり、個人投資家のみなさんが全く同じことをするのは難しいのが実情です。
しかし、日常生活の「変化」に接する機会の多い女性には大きなチャンスがある
一方で、資産運用のプロと称されている機関投資家は、常に数字だけから投資のヒントを見つけるわけではありません。もっと重要なのは、投資先である企業の店舗や工場を訪問して、お客さんの入り具合や工場の稼働状況、新商品の評判等をチェックしたりすることなのです。これらは、少なくとも、直ぐには数字として表れるものではありません。ただ、その場において「変化」を確認できるかどうかが重要になります。正直なところ、機関投資家と言えども、鈍感な人が見れば、その「変化」は理解されないのです。
この微妙な「変化」を感じ取れるかどうかについては、一定の経験がモノを言うのは確かです。しかし、生まれつき持ち合わせている“天性の感覚”も、それと同様に重要なのです。どんなにピアノが好きで猛練習を重ねても、一流コンクールで優勝するようなピアニストになるためには、天性の才能が必要です。同じように、どんなに絵画が好きで美術学校に通ったとしても、一流画家になるためには、やはり、天性の才能が必要です。これは、また後々説明しますが、株式投資ではタイミング(買い、売り)も重要な要素になりますが、それは、些細な変化を感じるかにかかっています。こうしたことから、女性には株式投資に必要な“天性の才能”が備わっているのではないか?と考える人は、意外に多くいます。
株式市場(=株価)は、大きな観点から見れば、世の中の動きを表していますが、それを下へ下へ掘り下げていくと、実は、日常生活の動きを表しているのです。女性の方には、お仕事中心の生活をされている方、専業主婦の方、老後の生活を送っている方、等々様々な位置付けがあると思われます。しかし、女性が日常生活の「変化」に接する機会が多いことは共通しています。
成功した男性ファンドマネージャーの中にも女性の声をヒントにした例が少なくない
例えば、以下の具体例は、すべて企業や産業の業績の変調に気づくための大事なシグナル(兆候)です。女性はこうしたシグナルに接する機会に恵まれています。実際に、運用で成功を収めた男性ファンドマネージャーの中にも、家庭で奥様の何気ない話を聞いて、そこを起点に投資対象を探すという人が少なくありません。
- カジュアル衣料品店の広告がやけに増えてきた
- スマホの最新機種が妙に安い値段になっている
- 親がよく外出するようになった
- 子供が妖怪ウォッチに飽きてきた
- 新聞の折り込みチラシの中に、マンションのキャンセル発生住戸販売に関するものが増えてきた
- ママ友が自宅でできる新しい働き方を始めた
- 金融機関勤務の人が今流行りの業界に転職した
こうした生活視点からスタートして、「株中級者」でご説明した知識をもとに、気になった銘柄選びをしてみるのも有効だと思います。これは、年齢や世代に拘わらず、女性が持つ“強み”でもあるのです。これを活かさないのは、あまりにも残念なことと言えましょう。
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