PR
個人投資家の株の売買金額の95%程度がネット経由で行われる現在、投資といえばネット証券というのが半ば常識になってきました。でも、ネット証券各社の違いが簡単にわかる一覧は意外に少ないものです。
そこで本記事では、最初に多くの投資家にとって気になるポイントの中から、定量評価ができる5項目について、10社をランキング形式で比較します。
「定性評価も含めて総合ランキングにしてくれ」といわれてしまいそうですが、「使い易さ」などの評価にはどうしても主観が入ってしまい、投資家をミスリードする恐れもあります。
ここでは、客観的に正確な情報をお届けするために、まずは5項目に絞ってランキング形式でご紹介します。そして、各社の大まかな強みを理解いただいたところで、ネット証券各社について簡潔にまとめたいと思います。
目次
1 投資家が気になる5項目について、ネット証券10社を比較
下表は主要なネット証券10社について、5つの項目の実力をランキング形式でまとめたものです。ここでは、多くの投資家の関心が高く、定量比較が可能な5項目としました。
ネット証券10社の実力比較
口座数 | 日本株手数料 | 投信取扱本数 | IPO取扱件数 | 米国株手数料 | |
---|---|---|---|---|---|
SBI証券 | |||||
楽天証券 | |||||
マネックス証券 | |||||
松井証券 | |||||
auカブコム証券 | |||||
GMOクリック証券 | |||||
SMBC日興証券 | |||||
岡三オンライン証券 | |||||
フィデリティ証券 | |||||
SBIネオトレード証券 |
注1:口座数は2020年3月末時点。
注2:日本株手数料は2017年9月5日現在。取引毎の手数料(50万円)、但し松井証券は一日当たりの約定金額に対する手数料。
注3:投資信託取扱本数は2021年7月2日に各社HPで確認(SBI証券は2020年10月7日現在)
注4:IPO取扱件数は2017年の件数
注5:米国株1,000株までの手数料は2017年9月5日現在
口座数
株の売買をする際に必須なのが証券口座。投資家は複数の証券会社に口座を開設することができます。1人当たり3口座程度を持っているとも言われますが、1人の投資家が1つの証券会社に開設できる口座数は1つだけです。そのため、口座数が多い証券会社は投資家の支持を集めていると考えられます。
上表では、口座数が多いネット証券が上位に表示されています。口座数上位のSBI証券、楽天証券、マネックス証券は、口座数以外の項目でも上位につけていることが分かります。優れたサービスが人気を集め、口座数の多さにつながっていると考えられるため、ネット証券で口座を開設する際には、口座数の多さは重要な判断材料となります。その上で、自分が重視するポイントに秀でたネット証券を選ぶと良いのではないでしょうか。
日本株手数料
日本株を売買する際には手数料がかかります。上表では、50万円分の日本株を売買する際、手数料が安いほど上位になっています。売買金額が変われば、このランキングも変わる点は認識しておいていただきたいですが、SBIネオトレード証券やGMOクリック証券は、どの金額帯においても安い手数料を提供しています。デイトレードのように頻繁に取引をする場合は、日本株の売買手数料が安いことは非常に重要です。50万円分の売買を100回行った場合、手数料が1回200円の場合と500円の場合では、(500-200)×100=30,000円の差になります。手数料を低く抑えることは確実に利益を増やすことにつながるため、頻繁に取引をする場合は手数料が安いネット証券を選ぶのが良いと思います。一方、たまにしか売買しない場合は、そこまで手数料に神経質になる必要はありません。むしろ、投資情報の充実度などを重視した方が、ニーズに合う可能性があります。
投資信託取扱本数
投資信託については、2,000本を超える取り扱いのあるSBI証券と楽天証券が、ネット証券の中でも、銀行などを含めた金融機関全体で見ても、突出した品揃えを誇っています。取扱本数が多いことだけが大事なわけでもありませんが、自分が欲しいと思ったものがお店になかった時のがっかり感を味わう可能性は低くなります。また、これら2社が取り扱う投資信託は購入時の手数料が全て無料(ノーロード)なので、投資信託に興味があるのであれば、SBI証券と楽天証券は欠かせない存在です。
IPO取扱件数
IPOとは新規上場のことで、IPO株投資は個人投資家に大人気です。新規上場予定の企業の株を上場前に購入するもので、勝率が高い(買った時の株価よりも上場後の株価が高くなることが多い)ことが人気の理由です。IPO株に興味があるのなら、IPO取り扱い実績が豊富なネット証券全てに口座を開設しておくのが良いでしょう。というのも、IPO株はその人気ゆえ、常に手に入るものではないからです。完全に平等に抽選でIPO株を投資家に割り当てるネット証券、一部はお得意様に割り当てるネット証券など、方針は会社によって様々ですが、 複数のネット証券に口座を開設して、まめに抽選に応募するのがIPO株入手への第一歩です。
米国株売買手数料
国としての成長力の高さから、米国株投資も多くの投資家の注目を集めていますが、米国株を取扱っているネット証券はSBI証券、楽天証券、マネックス証券の3社だけです。そして、その3社の中でも米国株の取扱本数がダントツに多いのがマネックス証券です。売買手数料についてはSBI証券が2016年7月に大幅値下げを実施し、これまで最安だったマネックス証券と同水準になりました。
2 ネット証券10社の特徴を簡潔にまとめてみる
2.1 SBI証券
SBI証券は600万口座を超える規模(2021年4月末)で、口座数のみならず、投資家から預かっている資産の額(預かり資産)や、個人投資家の株の売買代金などでもネット証券No.1です。IPO取扱数もネット証券No.1、商品ラインナップも豊富なので、長く付き合えるネット証券と言えます。なお、SBI証券の日本株売買手数料はネット証券の中でも安い方ですが、手数料を何よりも重視される方は、SBIネオトレード証券やGMOクリック証券を検討されるのが良いでしょう。
2.2 楽天証券
楽天証券はSBI証券に次ぐ口座数を誇り、年代や男女問わず幅広い層から支持を集めているネット証券です。楽天証券の特徴は投資信託をはじめとする豊富な商品ラインナップと、投資情報・投資ツールの充実度です。日本株の売買手数料はネット証券の中では標準的ですが、楽天市場を運営する楽天グループの証券会社ということもあり、投資初心者でも使いやすい操作画面が特徴です。また、楽天証券が提供する情報の中でも極めて便利なのが「日経テレコン21(楽天証券版)」です。「日経テレコン21(楽天証券版)」は、日本経済新聞(朝刊、夕刊)、日経速報ニュースの閲覧、日経産業新聞、日経MJなどの閲覧や、過去1年分の新聞記事検索などが利用できるデータベースですから、株取引をしないビジネスマンにとっても便利なツールと言えるでしょう。
>> 楽天証券の詳細解説を見る
2.3 マネックス証券
マネックス証券もIPO取り扱いも含めた商品ラインナップや投資情報が充実した、バランスの良いネット証券です。前述した米国株の手数料の安さに加えて、投資情報が豊富です。また、無料オンラインセミナーの充実度はネット証券の中でも群を抜いていると言えるでしょう。マネックス証券の手数料は、安さを追求するよりは、投資家への情報提供を充実させて付加価値を高める戦略をとっていると言えます。そのため、売買頻度の高い投資家というよりは、少額取引の投資家、売買頻度の高くない長期投資家、そして米国株投資家が重宝する存在です。
2.4 松井証券
松井証券は多くのデイトレーダーの支持を集める証券会社です。信用取引、先物取引を行う場合は、手数料や制度面で大きなメリットを受けられるでしょう。特に、「1日信用取引(1日のうちに、買い→売り/売り→買いが完結する信用取引)」というデイトレード専用の信用取引は、手数料が0円、金利・貸株料が0~2%と、取引コスト面で非常に大きな優位性があります。取引のスタイルが、日本株のデイトレードや少額取引だと明確になっている場合は重宝する証券会社でしょう。一方で、投資信託や外国株などの取り扱いはほとんどないので、品揃えや投資情報の充実度を求める場合にはあまり向いていないかもしれません。
>> 松井証券の詳細解説を見る
2.5 auカブコム証券
auカブコム証券は、三菱UFJフィナンシャルグループのネット証券会社です。特筆すべきは「リスク管理追求型」というコンセプトに基づいてサービスを提供している点でしょう。「損をしないこと」を重要視することが「儲かること」につながるという考え方です。この「リスク管理追求型」のコンセプトに基づき、多様な注文機能が提供されています。日ごろ忙しかったり、多数の銘柄を取引する投資家に便利な自動売買のメニューが豊富に揃っています。IPO取扱い件数、様々な手数料優遇プラン、充実の投資情報など、安心して口座を開設できるネット証券の1つです。
2.6 GMOクリック証券
GMOクリック証券は、GMOインターネットグループの証券会社です。最大の特徴は手数料の安さ。たとえば10万円までの現物株1取引の手数料は税込96円です。さらに1日定額プランの場合、1日の合計取引金額が20万円までなら税込234円、20万円から30万円までなら税込305円となっています(2020年1月8日現在)。SBIネオトレード証券とGMOクリック証券は日本株売買手数料が安い二大巨頭と言え、取引頻度の多い投資家にとっては貴重な選択肢です。
2.7 SMBC日興証券
SMBC日興証券は、日興証券の流れをくむ老舗証券ですが、現在は三井住友フィナンシャルグループの100%子会社です。いわゆる大手(総合)証券会社で、支店における対面取引もありますが、オンライントレードサービスも提供しています。これを「日興イージートレード」と呼んでいます。SMBC日興証券は、2015年4月から日本株の売買手数料をネット専業の証券会社と比べても遜色ないレベルまで引き下げました。IPO取扱銘柄数が極めて多いことも大きな特徴です。
2.8 岡三オンライン証券
岡三オンライン証券は、大正12年創業の岡三証券のグループ会社です。岡三オンライン証券の魅力は、プロである機関投資家からも評価の高い岡三証券による中小型株調査レポートが読めることと、少額投資の株式売買手数料が低いことでしょう(10万円の売買の場合、税抜き99円)。中小型株に興味がある場合は力強い存在です。
2.9 フィデリティ証券
フィデリティ証券は、投資信託で有名なフィデリティグループの証券会社です。毎月20日(休日の場合は翌営業日)の残高判定日の預り資産の評価残高(預り金、他証券口座からフィデリティ証券に移管した投資信託、フィデリティ証券で購入した投資信託、MRF)が1,000万円以上の場合は、株式売買手数料が取引金額に関わらず1約定当たり(=1回の注文成立当たり)税抜き463円であることが最大の特徴です(ネット取引の場合、電話取引の場合は税抜き4,630円)。1回の株式売買注文が100万円を超える場合、ネット証券の中でもかなり安い手数料となるため、運用残高が1,000万円を超える投資家にはかなりお得だと思います。
2.10 SBIネオトレード証券
SBIネオトレード証券(旧ライブスター証券)は、昭和23年設立の証券会社を出発点とした老舗証券会社です。現在は、SBIホールディングスグループの一員として、特徴的なオンライントレードサービスを提供しています。最大の特徴は日本株売買手数料の安さ。取引ごとに手数料を払う場合、SBIネオトレード証券の手数料の安さは業界No.1です。例えば、株式売買手数料は10万円までの1取引で80円、10万円から20万円までで97円(ともに税抜き)と、100円にも満たない水準です(2020年12月4日現在)。取引頻度の多い投資家にとっては貴重な選択肢です。
3 まとめ
なんとなくネット証券各社の違いをご理解いただけたでしょうか。気になるネット証券が見つかったら、まずは公式ページを眺めてみてください。見やすいと感じたら、口座開設して、口座保有者向けのサービスを体験してみると良いと思います。ネット証券の口座開設は全て無料なので、口座を複数開設して見比べるのも有力な選択肢です。