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LINEの上場が正式に承認されました。公募価格や主幹事、事業内容や最近の業績内容からLINEのIPOの魅力や注目ポイントについて分析していきます。
目次
1 LINEの上場がついに正式決定!
2016年6月10日、ついにLINEの上場(IPO)が東京証券取引所に正式に承認されました。今回は東京証券取引所(1部か2部かは公開価格が決定し、流通株式及び時価総額が決まったのちに決定予定)、ニューヨーク証券取引所に上場することになっています。日米の同時上場は異例の試みです。
今回の上場(IPO)に伴い、35,000,000(3,500万)株が新規発行(公募)され、上場時の発行済株式総数は209,992,000株となる予定です。また、有価証券届出書によれば、6月10日時点の想定発行価格は1株あたり2,800円ですから、2,800円×209,992,000株=5,880億円の時価総額が想定されているということになります。
2 LINEとはどのような会社か
LINEはコミュニケーションツールとして普段お使いの方も多いでしょう。ここでは、LINEの事業や直近の決算内容についてまとめていきます。
2.1 事業内容
LINEの事業内容は大きく2つに分けることができます。(1)コミュニケーション及びコンテンツと(2)広告です。
コミュニケーション及びコンテンツ事業は、ご存知のトーク、スタンプなどを扱ったコミュニケーションツールを活用したコミュニケーション事業、それに加えてLINE GAME、LINE PLAY、LINE マンガなどのコンテンツ事業です。この事業にはLINE PAYなどのインフラや投資事業も一部含まれています。
広告事業は、LINEでの広告事業が主体です。LINE 公式アカウント、LINEスポンサードスタンプなどが広告事業の内容です。ポータル広告としてLivedoorやNAVERまとめの事業もこの広告事業に含まれています。
2.2 ユーザー数
LINEのユーザーは、2011年6月に日本でモバイル向けメッセンジャー・アプリとしてサービスを開始して以降、アジアを中心に世界230か国以上で展開されています。
2016年3月31日時点で、月間アクティブユーザー数は2億1,800万人、日本では6,700万人が使用しています。日本では実に人口の約半分!が月に1度はLINEのサービスを使用していることになります。
また、タイ、台湾、インドネシアでは、月間アクティブユーザー数は9,100万人となっており、アジアで拡大を続けています。今後は、日本というよりはアジアでの成長を期待したい会社ということになります。
2.3 決算内容
2015年12月期の決算内容を見ていきましょう。LINE連結の売上高は1,211億円、営業損失は95億円、当期純損失は79億円となっています。直近通期の決算は赤字であったことがわかります。
ちなみに、2014年12月期は連結売上高が867億円、営業利益が64億円、当期純利益が20億円となっており、2015年12月期は売上高が対前年比+40%の伸び率となっていますが、従業員報酬費用が大幅に増えたため営業費用が増加し、営業損失となっています。
2015年12月期は通期赤字なのですが、2016年12月期の第1四半期はどうかといえば、連結売上高は341億円(対前年比+21%増)、営業利益が53億円(同3.7倍)となっており、営業利益率は約16%と本業では順調に見えます。ただし、為替差損益で約6億円の損が出ているのは現時点で気になるポイントです。
2015年12月期の売上高の内訳としては、コミュニケーションが24%、コンテンツが41%、LINE広告が22%となっています。2016年12月期の第1四半期の売上高の内訳をみると、コミュニケーションが23%、コンテンツが36%、LINE広告が28%となっており、コンテンツの比率が下がり、広告の比率が上昇してみえます。LINEも最終的には広告が売上高と広告が収益を牽引していくのでしょうか。
3 LINE のIPO株を検討する際の注目ポイント
3.1 オファリングレシオ19%が意味するもの
LINE上場(IPO)時には、新規発行株式の公募に加えて、最大5,250,000(525万)株の売出し(オーバーアロットメント)も行われる可能性があります。公募と売出しで合計40,250,000(4,025万)株、つまり発行済株式数の約19%が市場に流通する可能性があります。
上場時(IPO)時に市場に流通株数の比率をオファリングレシオと言いますが、筆者の経験則に基づけば、オファリングレシオの適正レンジは20~30%といったところです。
オファリングレシオが高過ぎると、株が市場に溢れかえり(供給過多で)、株価が崩れやすくなります。LINEのオファリングレシオは19%と、適正レンジ下限に近いところにありますので、需給がだぶつく可能性は低そうです。
どちらかと言えば、少し長い目線で見た場合に、上場後のコーポレート・ガバナンスを注視すべきかもしれません。LINEの株主は韓国のNAVER Corporationです。今回の上場後も引き続き大株主として株式を保有することになります。一般投資家の保有比率が19%に留まる中で、一般投資家を重視した経営がなされるかは中長期の株価を占う重要なポイントです。
3.2 中長期での着目点
また、LINEのようなメッセンジャー・アプリは世界で競争が激しく、フェイスブックが2014年に買収したWhatsApp(ワッツアップ)などもあり、どのように利用者を拡大するかがポイントとなります。
3.3 LINEのブック・ビルディングのまとめ
IPOのスケジュールは以下の通りです。
仮条件決定日 | 2016年6月27日 |
ブックビルディング期間 | 2016年6月28日から7月8日まで |
公募価格決定日 | 2016年7月11日 |
申込期間 | 2016年7月12日から7月13日まで |
払込期日 | 2016年7月14日 |
受渡期日 | 2016年7月15日 |
元引受証券会社は以下の通りです。
- 野村証券
- 三菱UFJモルガン・スタンレー証券
- ゴールドマン・サックス証券
- JPモルガン証券
- みずほ証券
- 大和証券
- SMBC日興証券
- SBI証券
- 東海東京証券
- マネックス証券
4 LINEのIPO株を手に入れるための手順
ネット証券取引が中心で当選確率をあげたい個人投資家、株式取引をしたことがない方
日頃は売買費用を抑えるためにネットで取引をされている方や、株取引をしたことがない方にも、IPO株を手に入れるチャンスはあります。上記の元引受取引参加者に名を連ねているネット証券や、元引受取引参加者と同じグループになるネット証券に可能な限り多く口座を開設し、ブック・ビルディングに参加するのです。ネット証券の口座開設・維持管理には一切費用がかからないため、費用ゼロで当選確率を上げることができます。
具体的には、まずは以下のネット証券に口座開設をしておくのがよいでしょう。口座開設には通常4営業日程度はかかるので、ブック・ビルディング開始日(6月28日)の1週間前には口座開設申し込みを済ませるのが無難です。
>>SMBC日興証券の口座開設(無料)
>>SBI証券の口座開設(無料)
>>マネックス証券の口座開設(無料)
>>au カブコム証券の口座開設(無料)
5 まとめ
LINEの解説はいかがだったでしょうか。LINEは日頃なじみのある個人投資家も多く、郵政以来の大きな注目を集めそうです。その一方で、大株主が韓国企業ということで、東京証券取引所に上場する外国籍企業という点でも今後はガバナンスの在り方には注目が集まりそうですね。2016年に入って日本の株式市場はさえない展開が続いていますが、今回のIPOが再上昇のきっかけになると期待したいところです。ブック・ビルディングに参加される前の参考になれば幸いです。