NISAのメリットとデメリット

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2014年(平成26年)1月にスタートしたNISAの口座開設数は年々増加傾向にあり、その数は、1,000万に近づいてきました。この制度の対象が「20歳以上の日本国内居住者」であること、NISAのモデルとなった英国におけるISAの利用者が制度対象者の約半数であることを考えると、まだまだ増加する余地は残されています。

自分がNISAの利用に向いているのかよくわからない、という理由で口座の開設を躊躇している人は少なくないでしょう。

この記事では、NISAのメリットとデメリットについて、具体例を用いてわかりやすく解説しています。NISAに興味のある方は、自分がNISAの利用に向いているのか、考える材料にしてみて下さい。

1 NISAのメリットは売却益や配当に税金がかからない

NISAのメリットは、投資によって得られた利益が非課税になる、という点です。通常の投資では利益が出た場合、そのうちの20%(実際には復興税を含めて20.315%)が税金として引かれることになりますが、これが引かれずにすむことになります。具体的な例で考えてみましょう。ある年度に120万円で株を取得し、これを5年後に150万円で売却したとします。その間、配当は毎年5万円であったとすると、下の表のようにNISA口座と課税口座で手元に残る金額は11万円の違いが出てくるのです。

NISA 課税口座
売却益 150万円-120万円=30万円 150万円-120万円=30万円
配当金 5万円x5年間=25万円 5万円x5年間=25万円
税金 0円 55万円x20%=11万円
合計 55万円 44万円

出所:株1編集部作成

これはほんの一例ですが、譲渡益や配当、分配金などが大きければ大きいほど、税金の有無による違いも大きくなり、NISA口座での投資で手元に残る金額は大きくなるのです。

これを見ると、NISAはとても魅力的な制度に見えてくるのではないでしょうか。

2 NISAのデメリットは

ここまでNISAのメリットを述べてきましたが、NISAには良い点ばかりではありません。NISAを上手く利用するためにはデメリットも知っておく必要があります。NISAで利益が出ている場合は先に述べたとおりメリットとなるのですが、損失が出た場合は要注意なのです。

2.1 損益通算が出来ない

一点目は、NISAは他の口座との損益通算が出来ないという点です。NISA口座では、配当金や売買益等は非課税となりますが、その一方で売買損失はないものとされるのです。損益通算が出来ないと、利益が出ていなくても税金を払わなくてはならない場合が出てきます。これも具体的な例を用いてみましょう。ある年度にA社株式で10万円の利益、B社株式で10万円の損失が出たとします。トータルの損益は0円と同じであっても、A社株式、B社株式をどの口座で保有していたかによって、下の表のように税金に違いが出てきます。

NISAでの損益 課税口座での損益 税金
A、Bとも課税口座 10万円-10万円=0円 0円
AはNISA、Bは課税口座 10万円 ▲10万円 0円
Aは課税口座、BはNISA ▲10万円 10万円 10万円x20%=2万円
A、BともNISA 10万円-10万円=0円 0円

出所:株1編集部作成

NISAだけでしか投資をしない人は気にする必要はありませんが、NISA口座以外の口座で投資をしている人は、この点について注意しておきましょう。

2.2 損失の繰越控除が出来ない

二点目は、損失の繰り越し控除が出来ないという点です。課税口座の場合、確定申告をすればその年に出た損失を翌年から3年間繰り越すことが出来ます。しかし、NISAの場合は、売買損失はないものとされるため、これが出来ないのです。例を用いてみましょう。

T年度に▲15万円の損失が出て、T+1年度に10万円の利益が出たとします。T年度は税金がかかりませんが、T+1年度にはそれがNISAか課税口座かによって下の表のような違いが出てくるのです。NISA口座以外の口座で投資をしている人は、この点についても注意が必要です。

T+1年度の課税対象となる損益 T+1年度の税金
T年度、T+1年度とも課税口座 ▲15万円+10万円=▲5万円 0円
T年度はNISA、T+1年度とは課税口座 10万円 10万円x20%=2万円

出所:株1編集部作成

2.3 5年経過後に売却益が発生して課税されることがある

5年間の非課税期間が終了すると、先に述べたように以下の3つの選択肢があります。

①売却する
②課税口座(特定口座等)に払い出す
③ロールオーバーして翌年からの非課税投資枠に移すの選択肢があります。

このうち②と③については、取得価格が終了時点での時価に更新されることに注意する必要があります。②の場合、以下のような場合があります。

株式の時価
NISA投資時点 100万円
課税口座への払い出し時点 50万円
売却時点 80万円
売却益 30万円 課税対象

出所:株1編集部作成

つまり、実際には▲20万円の売却損なのですが、この場合は30万円の売却益が出たと見なされ、30万円×20%の6万円が税金としてかかってしまうのです。

また、③については、ロールオーバー時に取得価格が更新されるため、非課税投資枠は100万円ではなく80万円を使用したことになります。

他にも、配当金受取口座を株式比例配分方式にしておかねば課税されてしまうこと、信用取引を行う場合には、NISA口座の株式は代用有価証券としては使えないことにも注意が必要です。

3 NISAに向くのはこんな人

これまでのメリット・デメリットを踏まえて、NISAにはどんな人が向いているのかを考えてみましょう。

NISAは、NISAとNISA口座以外の課税口座とを併用する場合にデメリットがありました。言い換えれば、NISA口座のみで投資を行う場合にはデメリットはなく、非課税というメリットを大いに享受することが出来るということです。これから投資をはじめようという人、多額の投資や頻繁な売買を行わない人(非課税投資枠の上限を超えない)は是非とも口座開設を検討してみて下さい。

一方、すでに本格的に投資を行っていて、特に多額の投資を行っている人やデイトレーダーのように頻繁な売買を行う人には、枠の上限の存在や損益通算や繰越控除などのデメリットを考えると、わざわざNISA口座を開設するメリットはあまりないかもしれません。

4 NISA口座の開設にはネット証券がおすすめ

ここまでで、NISAのメリット・デメリット、向き・不向きをご理解いただけたと思います。最後にNISA口座の開設する金融機関の選び方と開設方法をご説明します。NISA口座は1人1口座しか開設できません。その点から考えると、NISA口座開設には取扱商品が豊富で手数料が安く、独自のサービスを展開するネット証券がおすすめです。では、数あるネット証券をどう選べばよいのでしょうか。

4.1 投資したい商品がまだ決まっていない人

NISA口座で投資したい商品が決まっていない人には、取り扱うNISA対象商品の数が豊富なSBI証券、マネックス証券、楽天証券がおすすめです。

SBI証券:NISA口座開設数業界トップの80万口座(2016年8月)。主要ネット証券で最低水準の手数料が魅力。日本株の夜間取引等にも対応。NISA口座で取り扱う投資信託本数は業界トップクラスの2,424本(2017年1月11日現在)。住民票取得代行サービスは1月31日まで。

マネックス証券:NISA口座における国内株式の取引手数料を恒久0円に。米国株に関するサービスも充実。投資情報の提供に力を入れており、少額取引の投資家、売買頻度の高くない長期投資家へのサービスが手厚い。住民票取得代行サービスを2016年12月30日まで実施中。

楽天証券:取引手数料無料の投資信託が900本以上。楽天スーパーポイントがたまる。株価の自動更新・リアルタイム表示や素早い取引が可能な「マーケットスピード」利用可。日経テレコン21(楽天版)も閲覧可能。住民票取得代行サービスを2016年12月16日まで実施中。

4.2 投資したい商品がある、国内株式に特化する人

すでに投資したい商品が決まっている人や国内株式に特化している人には、手数料が安い松井証券やGMOクリック証券がおすすめです。

松井証券とGMOクリック証券はNISA口座の株式売買手数料を永久に無料としています。両社ともに外国株式の取り扱いはなく、投資信託については松井証券がごく一部を取り扱うにとどまりますが、国内株式に特化した投資家には素晴らしいサービスを提供しています。

詳しくは「NISA口座におすすめのネット証券徹底比較」の記事もご参照ください。

>>SBI証券の公式ページはこちら

>>マネックス証券の公式ページはこちら

>>楽天証券の公式ページはこちら

>>松井証券の公式ページはこちら

>>GMOクリック証券の公式ページはこちら

4.3 NISA口座の開設方法

NISA口座は、日本国内に住んでおり、口座開設年の1月1日現在で20歳以上なら誰でも開設することができます。開設できるのは1人1口座であり、金融機関の変更は1年単位でしかできないので注意してください。

NISA口座の開設方法は、開設したい金融機関に口座を持っているかどうかで手順が変わります。以下、口座保有の有無で整理します。

4.3.1 既に口座を持っている金融機関でNISA口座を開設する場合

①申請書類を取り寄せ、「住民票」、「マイナンバー」、「本人確認書類」とあわせて提出(※)
②税務署にてNISA口座が重複していないかをチェック
③NISA口座開設

※提出書類は過去の転居の有無や金融機関によって異なり、確認が必要です。

4.3.2 新たな銀行や証券会社でNISA口座を開設する場合

新たに銀行や証券会社でNISA口座を開設する場合は、上記の手順の前に、銀行における預金口座・投資信託口座、証券会社の場合には総合取引口座を開設する必要があります。

なお、NISA口座の開設には、ネット証券の場合1か月超かかることもあります。余裕をもって開設手続きをしましょう。

5 まとめ

ここでは、NISAのメリットとデメリットを解説しました。NISAでは課税という観点からは利益も損失も認識されないということがポイントで、利益が出た場合には非課税になるため大いにメリットがありますが、損失が出た場合には損益通算や損失繰越が出来ないというデメリットがあるのです。すでにNISAの口座ではない課税口座で投資をしている場合には、このデメリットについてよく考えた上で、NISA口座の開設を検討してみて下さい。

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