PR
株価の見方は難しいと感じることはありませんか。株式を始めたばかりの方だけではありません。投資経験を積んできた方も、時として直面する投資家共通の悩みです。
実は株価の見方は非常に単純で、株価が割高か割安かさえ押さえれば判断を誤ることがありません。株価の見方で迷っている投資家の方は、いつの間にかこの基本を忘れてしまっているケースがほとんどです。そんな時は、今の株価が割安なのか割高なのか、なるべくシンプルに整理することが投資で成功する近道です。
これまで見てきた成功した投資家の多くも、要所要所でこうアプローチしてきました。私の長年の投資経験からも同じ結論になります。そこで、株価を正しく見る視点、株価の意味と情報の読み取り方を身につけて、適切な投資判断につなげていきましょう。
ざっくりいうと
- 「株価の高低」と「時価総額の大小」の違いを明確に理解できるようになることが投資家への第一歩です。
- 「株価の高低」と「株価の割高・割安」の違いをおさえることが、投資判断をする上でこの上なく重要です。
- 新聞やインターネットの株価欄の情報を徹底活用しましょう。もし楽天証券の口座をもっていない方は、口座開設(無料)しておくとをオススメします。日経新聞の記事が実質無料で読めるため、株価の見方を学びながら、年5万円程度のコストメリットを享受することができます。株1編集部のメンバーもフル活用しています。
目次
1 株価の意味
株価とは、一株当たりの価格のことです。市場で売り手と買い手が取引のたびに合意した価格です。株価はその企業の現在から将来にわたる見通しを反映しています。その見通しは投資家の間で刻々と変化していきますので、株価もこれに連動して常に変動します。ここが株価の見方を難しくしているのですが、原理はリンゴ1個、ミカン1個の価格と同じです。
2 「株価の高低」と「株式時価総額の大小」の違い
株価の高低とは
私たちが「株価が高い」というとき、主に2つの意味があります。
1つ目は、ある企業の株価を過去と比べる場合です。例えば「良品計画の株価は3年前に比べて今は3倍になった=高くなった」という意味です。
2つ目は、2つの企業の株価を比較する場合です。実例を見てみましょう。良品計画の株価が25,000円、ニトリが10,000円とします。この時、「良品計画はニトリより株価が高い」と言えます。
株式時価総額とは
この2つ目の株価の見方には注意が必要です。確かに、良品計画の1株の価格はニトリの1株の価格より大きいことには違いありません。しかし、これはリンゴ1個の価格をミカン1個の価格と比べていることになり、意味はあまりないのです。
多くの投資家は、むしろ良品計画の会社全体の大きさやニトリの会社全体としての大きさに注目しています。そこで、例として、良品計画という会社をリンゴの木、ニトリという会社をミカンの木と捉えてみましょう。それぞれの会社の大きさを、その木に実った果実の数全体とします。すると
良品計画の大きさ=リンゴ1個の価格×木全体のリンゴの数
ニトリの大きさ =ミカン1個の価格×木全体のミカンの数
となります。会社の大きさは果実1個の価格と果実の数の両方で決まるのです。
これを専門的には株式時価総額と呼びます。算出式は次の通りです。先ほどの例と同じ原理です。
株価×発行済み株式数
株式市場が会社全体の株式の価値をいくらとしているかは、この計算で求められるのです。言い方を変えると、その会社の株式を全部買い占めるにはどれぐらいのお金がかかるのかを示しています。
さて、さきほどの例ですと、株価は良品計画のほうがニトリより大きい価格でした。しかし、時価総額はこの順序ではなく、良品計画は7,000億円、ニトリは1.1兆円ほどです。
株価の大小は、異なる会社の間で比べても意味がありません。異なる会社を比べるためには、それぞれの木の果実の数と果実1個当たりの価格の両方を考える必要があります。
3 「株価の高低」と「株価の割高・割安」の違い
異なる会社の株価を単純に比べるだけでは不十分だとお話しました。株式投資の立場で考えなければならないのは、どの会社が投資に値する価値があるか(一番大きいか)、ということです。
これをリンゴとミカンに例えると、リンゴとミカンは今どちらが(より)お買い得か、お値打ちかという考え方になります。現在のリンゴとミカンの価格を比較するだけではお値打ちかどうかはわからないですね。リンゴとミカンに共通のものさしを当てはめて、どちらがお値打ちかを判断する必要があるのです。株価で「割高」「割安」という考え方もこれと同じです。その株価が割安であるということは、お値打ちがある、今の株価は本来あるべき値段よりも低い、という意味です。
そこで、割高・割安を判断するために皆さんに是非知っておいていただきたい2つの視点を説明します。
過去の株価推移から考える(チャート分析)
第1の視点は、現在の株価は過去の株価の推移の中で高い水準なのか低い水準なのかです。先ほどの果物の例では、今年のリンゴの価格は過去の価格と比べて高いか低いかと考えるのと同じ思考方法です。
特に10年や20年という長期で見てみると、株価は必ず上げたり下げたりしています。現在の株価が過去の株価の水準とどう違うのか見ておくことは大変有益です。仮に過去の推移と比べて現在の株価が低いなら、時系列の面で株価は「割安」と言えそうです。
企業の財務指標と結び付けて考える(バリュエーション分析)
第2の視点は、現在の株価をその会社の財務の数値に結びつける考え方で、一般にバリュエーション分析といいます。果物でいえば、等級と価格を比べることと一緒です。
ここにはさらに2つの考え方があります。会社利益の水準から等級を割り出す考え方と、会社の純資産に関連付ける考え方です。
■株価収益率
前者で代表的な指標は「株価収益率」というもので、次の式で求めます。
株価÷1株当たり純利益
分子が1株の価格ですので、これに対応して分母も会社の利益全体を発行済み株式数で割って1株当たりの利益にします。略してPER(Price Earnings Ratio)とも呼ばれます。
この数値は「今の株価は、今の1株利益の何年分か」と解釈できます。この倍率が大きいほど、現在の株価は現在の1株利益の何倍も大きい水準にあるため、一般に「割高」とみなされています。株式投資家の人気が高く、将来への期待感が高い銘柄がこれに当たります。
具体例で見ておきましょう。トヨタの株価が7,500円、スズキの株価が4,000円とします。株価収益率はトヨタが10倍、スズキが17倍になっています。トヨタの株価はトヨタ1年分の1株純利益の10年分、スズキは17年分ですので、スズキのほうが投資家の人気・期待が高く割高と言えます。
■株価純資産倍率
後者の代表的な指標は「株価純資産倍率」で、
株価÷1株当たり純資産
と計算します。純資産は会社の資産から負債を引いた残りです。これは企業のオーナーである株主全体のものです。
資産-負債=純資産
この式を読み替えると、いま会社の資産(建物や工場や営業所や在庫など)を全て現金化し、借りている金額(負債)を全て返した時に、株主の手元に現金がいくら残るのかというふうに理解できるはずです。これを解散価値と呼ぶことがあります。
この金額を発行済み株式数で割ったものが1株純資産で、これを株価と比較します。PBR(Price Book Value Ratio)とも呼ばれます。この数値が高いほど、株価が解散価値を上回る人気・期待を集めているとして「割高」とみなされます。逆に、低いほど割安とみなされます。
具体例で見ておきましょう。さきほどのトヨタとスズキの例で見ると、1.4倍と1.8倍となっていますので、スズキのほうが割高、トヨタは割安と言えます。
ここで整理しておきましょう。リンゴの「価値」と言われると、単にリンゴの価格が大きいか小さいかではなく、その価格がそのリンゴの品質(等級)に対して高いのか低いのかを考えるはずですね。
株価の「価値」も同じです。株価を「1株純利益」、「1株純資産」と比べて「PER」、「PBR」を計算し、高いか低いかを見るべきです。さらに「PER」「PBR」というものさしを使うと、異なる企業の株価の「割高」「割安」を比較できるようになります。
株式投資では、多くの銘柄の中から「割安」な銘柄を探していくことが必要です。この銘柄選択の過程で、銘柄間の「割高」「割安」を示す指標は大変重要です。株取引をするにはPERとPBRをしっかり理解するとよいでしょう。
4 新聞やインターネットの株価欄の情報を徹底活用する
株価の見方の基本を押さえましたので、実践編に移りましょう。ここではメディアの株式情報の見方のポイントを説明します。
新聞の株価欄の見方
ここでは日本経済新聞の株式欄を例に説明します。日本経済新聞では東証第一部、第二部、マザーズ、ジャスダックなどの各市場について、上場されている銘柄(企業)を業種に分けて証券コード順に株価情報を提供しています。
概要は次の通りです。
●日々の株価情報
– 火曜から土曜まで掲載
– 基本構成は、銘柄、 始値、高値、安値、終値、前日比、売買高(マザーズ、ジャスダックは始値を省略)
●クローズアップ日経平均株価
– 火曜から土曜まで掲載
– 日経平均採用の225銘柄のみが対象
– 基本構成は、銘柄、 前日比騰落、PER、PBR、配当利回り、時価総額
●週間高低
– 土曜に掲載
– 基本構成は、月曜から金曜までの週間の株価について、銘柄、始値、高値、安値、終値、年初来高値、年初来安値、予想PER、利回り、売買高
日々の株価情報欄は株式投資をする方には必見です。ここでは必ず押さえておくべき点を解説します。
銘柄:
銘柄名が無印の場合以外に、A、a、・などの記号があります。これは売買単位(取引において何株をまとめて売買するのか)を示します。無印とkは1000株、Aとaは100株、Bは1株、Cは10株、Dは50株、Eは500株などとなっています。また・は貸借銘柄(たいしゃくめいがら)を示します。貸借銘柄とは制度信用取引で空売りが可能な銘柄のことですが、株を始めて間もない方がすぐに知っておく必要のある内容ではありません。
銘柄名は業種ごと、証券コード(各企業ごとに割り振られた4ケタの番号です)ごとに並んでいます。名称は略語が使われます。典型的な例は、
HD=ホールディングス
紙=製紙
洋=東洋
東=東京
日=日本
建=建設
です。
始値:その日最初にいくらで株価の値がついたかを示します。
高値:その日一番高くついた株価を示します。
安値:その日一番安くついた株価を示します。
終値:その日最後についた株価を示します。
前日比:当日の終値が前日の終値から何円増減したのか示します。△は上昇、▲は下落、「0」は変わらずに終えたこと、「-」は売買が成立しなかったことを示します。
売買高:1000株単位で表記されますが、売買単位が1株、10株、50株の銘柄は1株単位で表記されています。
新聞の株価欄の活用法
さて、以上のようなデータ、細かいなぁとお感じかもしれません。しかし始値、高値、安値、終値、前日比、売買高というデータは実はいろいろなチャートを作るときの入力データです。よって、この6つの数字から1日の値動きのポイントが分かります。
投資家は「今日はいくらで始まり、どこまで上がり、どこまで下がり、結局どの水準で終わったのかな、売買は多かったのかな」とイメージし、その銘柄を積極的に買いたいのか売りたいのか判断しています。
また、新聞の良さは網羅性です。すべての銘柄が掲載されていますので、定期的にこれを眺めていると、人気が出て買われている銘柄や業種、逆に人気がなくなり下げている銘柄や業種が見えてくるようになります。
プロやベテランが活用しているテクニックの1つに、新高値・新安値の銘柄に着目するという手法があります。新聞ではこれをビジュアル的に一目で追うことができ、大変便利です。日本経済新聞などでは、新高値・新安値銘柄が黒ベタ白抜き(白い字)で示されているからです。高値の欄にこれがあるときは新高値がついたこと、安値の欄にこれがあるときは新安値がついたことが分かります。
新高(安)値は、年初来一番高い(安い)株価のことを意味します(3月までは前年からの最高値、最安値)。新聞では、どの業種のどういう銘柄がその年の高値まで買われているのか、その年の安値で売られているのかが一目で俯瞰できます。株式市場の物色動向を知る一番身近な手がかりとして重宝しますので、新聞を購読されている場合はぜひ注目してください。
コラム:ネット証券を使えば、日経の記事が無料で読める!?
日本経済新聞は、発行部数世界一の経済新聞(日本経済新聞社ホームページより)です。他紙に比べて産業や経済の情報が非常に多く、掲載企業は1日400社以上とされています。日々目にする「日経平均株価」、「NIKKEI 225」は、日経が算出する株価指数で、投資判断や勉強には欠かせません。
しかし、いざ購読するとなると、これだけの購読料がかかります。
種別 月額料金(税込) 年間購読料 電子版(※) 4,277円 51,324円 宅配 4,900円 58,800円 宅配+電子版 5,900円 70,800円 ※会員種別は有料会員、登録(無料)会員の2種類。
いくら投資判断のためとはいえ、年間5万円以上の出費は痛い、と頭を悩ませている方もいらっしゃると思います。電子版の登録会員(無料)になれば、月10本まで有料記事を無料で読むことも可能ですが、日々動いているマーケットや企業の最新の動きを捉えるにはいささか心もとないように思えます。
しかし、ここでネット証券を活用すれば、日経を実質無料で読むことができるのです。ネット証券は、顧客サービスの一環として情報提供サービスを行っています。日経を読むのであれば、おすすめは楽天証券です。楽天証券に口座を開設(無料)すると、無料で「日経テレコン(楽天版)」が使うことができます。
はじめての楽天FX取引で抽選で最大10万ポイントプレゼント!楽天証券の公式ページはこちら
「日経テレコン(楽天版)」では、以下のことができます。
しかも、楽天証券の口座開設・口座維持費は無料です。活用しない手はありませんね。
- 日経速報ニュースの閲覧
- 日経(朝刊・夕刊)、日経産業新聞、日経MJ、日経地方経済面、日経プラスワンの閲覧(3日分)
- 過去1年分の新聞記事検索(日経各紙および速報ニュース)
詳細に興味がある方は、「日経新聞が無料で読み放題? ネット証券のお得な活用法」をご覧ください。
インターネットの株価欄の見方
「新聞はもう取っていない」「もっとタイムリーに株価を知りたい」というニーズには、Yahoo!ファイナンスや証券会社のインターネットサイトの個別銘柄欄(ページ)を活用してください。
チェックするべき項目は、先ほど新聞の日々の株価動向で取り上げた項目で既に網羅してあります。必要があれば新聞の株価欄の見方を改めて参考にしてください。また、新高値・新安値をまとめて見ることができるページがあります。定期的にチェックして市場の動向を追うと良いと思います。
インターネットの株価欄の活用法
インターネットサイトの利点は、今現在の株価がすぐに分かることに加えて、以下の3つがあります。
●タイムリーな株価に基づいて、株式時価総額、株価収益率、株価純資産倍率が自動計算されている
●タイムリーな株価に基づいてさまざまなチャートを自由に利用できる
●銘柄に関連するニュースをすばやく知ることができる
株式市場を俯瞰的に見るには新聞にも利点がありますが、既に気になる銘柄があって、それを追いかけるならインターネットの株価欄はお勧めです。ちなみに、多くのサイトでは無料で利用できるサービスだけでも株式投資で必要なほとんどの情報をカバーできます。
より詳しい情報を知りたい方には、証券会社のインターネットサイトがおすすめです。
5 まとめ
いかがでしたか。株価は市場が提供するとても重要な情報ですが、よりよく活用するにはもう少し踏み込んで理解する必要があります。そのためには次の3つをしっかり押さえておきましょう。
●会社の株主の価値の合計である株式時価総額を理解する
●株価の高・低と、株価が割高・割安であることは別にして考える
●株価の割高・割安は、以下の2面からチェックする
– 過去の株価の水準と比べて現在の株価の位置はどこにあるのか、という考え方で割高・割安を判断する
– 株価収益率(PER)や株価純資産倍率(PBR)を手掛かりに、株価が割高か割安かを考える。特に、同業他社との比較は重要。
上記の3点を頭に入れた上で、新聞やインターネットの株式欄をチェックする習慣をつけてください。株式欄をチェックする際のおすすめは、新高値・新安値の銘柄をフォローすることです。市場の評価を上げている銘柄、あるいは下げている銘柄を定期的に見ることで、さまざまな株価の動きをより深く理解できるようになります。