JR九州が上場(IPO)決定!-株価、事業、幹事証券まで徹底解説

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九州旅客鉄道株式会社(以下、JR九州)の上場が2016年9月15日、東京証券取引所から正式に承認されました(証券コード:9142)。同社の事業内容や最近の業績内容から、JR九州のIPO株としての魅力や注目ポイントについて分析します。

ざっくりいうと

  • JR九州の上場が2016年9月15日、東京証券取引所から正式に承認されました。同社は東証および福証に上場します(東証への上場は2016年10月25日、福証への上場は同26日の予定)。
  • 上場時に想定される時価総額は約3,900億円です。もし株価が想定価格以上になれば5,000億円規模もあり得ます。LINEに次ぐ大型上場になりそうです。
  • JR九州は、駅ビル不動産事業で利益を稼いでいる会社です。同事業に加え、売上高の37%を占める運輸サービス事業の利益をどこまで改善できるかも注目したいポイントです。
  • JR九州のIPO株を手に入れるには、元引受取引参加者等に決定した証券会社に口座を開設しておく必要があります(その他の証券会社でも今後取り扱いが始める可能性はあります)。まずは、以下の4社に口座開設しておくのがよいでしょう。

>>SBI証券の公式サイト
>>SMBC日興証券の公式サイト
>>マネックス証券の公式サイト
>>松井証券の公式サイト

※2016年9月16日追記:カブドットコム証券でも取り扱いがあります。

1 JR九州が上場決定!観光客を取り込めるか

JR九州は、九州に路線を置く旧国鉄企業です。2011年に全線開通した九州新幹線、2013年から運行を開始した「ななつ星in九州」など、観光客やインバウンド需要の取り組みを積極的に展開しています。

観光地としての潜在力は今後の事業開発次第、また同社のインフラ整備次第ともみえます。2016年4月の熊本地震の影響もあり、地震対策なども必要となるでしょうが、同社の今後の展開には期待したいところです。

同社の事業構成は、約37%を占める鉄道事業である運輸サービスが主体となりつつも、建設、不動産、流通などの事業も行っており、事業リスクは分散されているように見えます。収益については、不動産事業の占める割合が非常に大きい一方、運輸サービス事業は2016年3月期にようやく黒字となったばかりです。今後、運輸サービスをどこまで改善し伸長させていけるかがポイントとなりそうです。

財務面では、2016年3月期に鉄道事業固定資産の減損により、思い切ったバランスシートの整理を行っています。ただし、純資産の総資産に対する比率は47%と、減損後で見ても問題はない水準といえそうです。

2 JR九州はどのような会社か

JR九州は言わずと知れた九州の旧国鉄。九州新幹線は2004年に開業し2011年3月12日に全線が開通しました。2013年には豪華寝台列車「ななつ星in九州」の運行を開始するなど、今後も観光客やインバウンド需要の取り組みを積極的に展開する取り組みのようです。

一方、最近では2016年4月にも熊本地震が発生し、株式市場では上場申請やそもそもの上場が危ぶまれるのではとの見通しもありました。

今後も地震対策なども必要となるでしょうが、九州は歴史や温泉なども数多くあるため、観光地としての潜在力は今後の事業開発次第、また同社のインフラ整備次第ともみえます。同社の今後の展開には期待したいところです。

余談ですが、JR九州の上場は、旧国鉄では東日本旅客鉄道(JR東日本、1993年10月上場)、西日本旅客鉄道(JR西日本、1996年10月上場)、東海旅客鉄道(JR東海、1997年10月)、に次いで4社目となります。こうしてみるとJRの上場はいずれも10月なので、今回もそれに合致している上場タイミングといえますね。

人気の「ななつ星in九州」の料金は?抽選倍率は?

JR九州が誇るクルーズトレイン「ななつ星in九州」。「九州の魅力を世界に発信する」というコンセプトで2013年に運行を開始して以来、匠の技を結集した世界唯一の車両で最高級の食事を楽しみながら九州各地を満喫できる企画列車として高い人気を誇っています。

3泊4日コースと1泊2日コースがあり、料金は春夏シーズンと秋冬シーズン、またその繁閑月によって異なります。2017年春夏出発分(3月~9月)については、新たに日本文化体験プランなどを盛り込むことから料金が直され、3泊4日で63万円~、1泊2日で30万円~となります(いずれもJR九州企画・実施分、2名1室一人あたり)。

出所:2016年9月16日付JR九州プレスリリース「クルーズトレイン「ななつ星 in 九州」2017年春・夏出発分(3月~9月)の受付を開始します

「ななつ星in九州」で旅をするには、おおよそ半年に1回の申込期間に申し込みが必要ですが、国内外からの申し込みがあるため、抽選になっています。その抽選倍率は実に20~30倍。非常に狭き門であるからこそ、なおさら憧れが募りますね。

出所:2016年5月27日付JR九州プレスリリース「クルーズトレイン「ななつ星 in 九州」2016年度秋・冬出発分の予約受付結果について

2.1 事業内容

JR九州の事業内容は大きく4つあります-(1)運輸サービス、(2)建設、(3)駅ビル不動産、(4)流通外食。

この事業構成は、鉄道インフラを敷くことに始まり、まちづくりをし、そこに人が集まり、その人たちにサービスを提供するというモデルです。インフラが整備され、人口や外部からの観光客が増えくれればより拡大していくといえます。事業構成をみれば、鉄道会社というよりは、まち全体を運営する企業といえます。

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写真:JR博多シティ

2.2 駅ビル不動産事業が収益の柱

鉄道事業である運輸サービスが売上高の約37%を占め、主体事業といえますが、建設、駅ビル不動産、流通外食もそれぞれ分散されており、事業のリスクは分散されているように見えます(図表1参照)。

図表1:JR九州の連結売上高構成比
JRkyusyu1

出所:会社資料をもとに株1編集部作成

>>JR九州の平成27年度の決算資料へのリンク

売上高は事業ごとに分散されていますが、収益に関してはそうだとは言えません。鉄道会社にとって不動産事業は重要な事業であるといえますが、JR九州の場合にも特にその傾向が強いといえます。

また、運輸サービス事業は2016年3月期にようやく黒字となりました。図表2からは、過去3年は赤字だったことがわかります。同社の連結での収益を考える際には、運輸サービスをどこまで改善し伸長させていけるかがポイントとなりそうです。

図表2:JR九州の事業セグメントごとの経常利益(百万円)
JRkyusyu3

出所:会社資料をもとに株1編集部作成

2.3 決算内容

JR九州の営業収入である売上高は順調に伸びています。2017年3月期の会社予想も2016年5月20日時点で売上高は3,788億円と対前年度比ほぼ横ばいですが増収となっています。

また、営業利益率も2016年3月期は営業利益率が5%台に改善し、2017年3月期は13%台にまで改善する見込みです。

なぜ2017年3月期には営業利益率がここまで回復するのでしょうか。これにはちょっとしたトリックがあります。同社は、2016年3月期に鉄道事業固定資産の減損を行っています。単体では5,000億円を上回る減損や他にも230億円もの固定資産圧縮損を計上しています。こうした思い切ったバランスシートの整理をすることで固定費が軽くなり、収益の改善が実現されつつある見ることができます。

図表3:JR九州の営業収入(売上高)と営業利益率
JRkyusyu2

出所:会社資料をもとに株1編集部作成

2.4 大幅な減損後も財務体質に問題は生じない水準

2016年3月期に大幅にバランスシートの見直しを行った結果、収益は改善する見通しとなったものの、株主資本は減損などにより棄損されることになりました。

2016年3月末のバランスシートは、総資産が6,466億円に対して純資産が3,057億円となっています。純資産の総資産に対する比率は47%と、減損後で見ても問題はない水準といえそうです。

2.5 上場前の株主構成

JR九州は今般の上場承認を前に2016年8月18日付けで1株を500株に分割しました。現在、独立行政法人 鉄道建設・運輸施設整備支援機構(鉄道・運輸機構)がこの全株(32万株→株式分割により1億6千万株)保有しています。

今回は、この1億6千株のすべてが売り出しの対象となっています。売り出しの内訳は、国内売り出し1億2千万株、海外売り出し4千万株が予定されていますが、需要状況等を勘案し、最終的には売出価格決定日(2016年10月17日)までに決定されるとのことです。

3 JR九州のIPO株投資を検討する際の注目ポイント

以下、株価や業績から投資を判断する際のポイントについて整理します。

3.1 株価を考える際のポイント

今回は時価総額が3,900億円程度になるという想定で、その水準が妥当なのかを見ていきましょう。

まずは、PER(株価収益率)については以下のように計算することができます。

3,900億円(想定時価総額)÷360億円(会社予想当期純利益)=約10.83倍

また、PBR(株価純資産倍率)については以下のように計算することができます。

3,900億円(想定時価総額)÷3,057億円(実績純資産)=約1.28倍

では、このJR九州の株価評価(バリュエーション)をJR各社と比較してみましょう。

図表4からは、JR九州の株価評価(バリュエーション)は特段の割高感はJR各社と比較してないものの、今後の成長性、特に収益での伸びしろを見せることができなければ、もう少し低い評価にもなりかねませんね。

大手の機関投資家などは、JR九州にJR東海や東日本以外にある魅力を感じなければ、時価総額も小さいことからそもそもポートフォリオに組み入れる検討もしないかもしれません。

図表4:JR各社の時価総額と株価評価(バリュエーション)

時価総額(百万円) PER(会社予想、倍) PBR(実績、倍)
JR東日本(9020) 3,435,746 12.96 1.40
JR西日本(9021) 1,169,578 10.97 1.31
JR東海(9022) 3,522,600 9.27 1.40
JR九州(9142) 390,000 10.83 1.28

注:時価総額、PERは2016年9月15日終値ベース。JR九州は想定ベース

IPO価格等 上場に伴う開示資料が入手でき次第更新

想定価格(A) 2,450円
仮条件(B)
公募価格(C)
初値(D)
上場時の発行済株式数(E) 160,000,000
想定時価総額(F)=(A)×(E) 392,000,000,000
上場時の市場流通株式数(G)
オファリングレシオ(H)=(G)÷(E)

3.2 オファリングレシオを確認

JR九州のオファリングレシオは、今後上場に伴う開示資料が入手でき次第更新します。

3.3 中長期での注目ポイント

九州の魅力をいかに伝え、観光需要を取り込めるかに尽きるかと思います。JR九州はJR日本や東海の規模はないものの、日本だけではないアジアからも多くの集客が見込める福岡を抱え、また鹿児島や長崎といった観光資源の豊富な地域も多数存在します。九州全体が栄えることで、同社も様々な接点で収益機会が増えていくことになります。

3.4 ブック・ビルディングまとめ

仮条件決定日 2016年10月6日
ブック・ビルディング期間 2016年10月7日から10月14日まで
売出価格決定日 2016年10月17日
申込期間 2016年10月18日から10月21日まで
受渡期日(=上場日) 2016年10月25日

また、元引受取引参加者等は以下の各社です。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券、野村證券、JPモルガン証券、SMBC日興証券、大和証券、みずほ証券、岡三証券、東海東京証券、いちよし証券、SBI証券、SMBCフレンド証券、岩井コスモ証券、エース証券、東洋証券、マネックス証券、丸三証券、藍澤證券、水戸証券、エイチ・エス証券、極東証券、髙木証券、立花証券、ちばぎん証券、内藤証券、日本アジア証券、松井証券、むさし証券、あかつき証券、西日本シティTT証券、日の出証券、福岡証券、丸八証券、光世証券、リテラ・クレア証券、ゴールドマン・サックス証券、UBS証券、クレディ・スイス証券、シティグループ証券、バークレイズ証券、マッコーリ―キャピタル証券、メリルリンチ日本証券、安藤証券、今村証券、ウツミ屋証券、岡三にいがた証券、岡地証券、木村証券、共和証券、上光証券、第四証券、長野證券、中原証券、西村証券、日産証券、ニュース証券、八十二証券、ばんせい証券、フィリップ証券、三木証券、三田証券、山和証券、豊証券、リーディング証券

4 IPO株を入手するための手順

ネット証券取引が中心で当選確率をあげたい個人投資家、株式取引をしたことがない方

日頃は売買費用を抑えるためにネットで取引をされている方や、株取引をしたことがない方にも、IPO株を手に入れるチャンスはあります。上記の元引受取引参加者に名を連ねているネット証券や、元引受取引参加者と同じグループになるネット証券に可能な限り多く口座を開設し、ブック・ビルディングに参加するのです。ネット証券の口座開設・維持管理には一切費用がかからないため、費用ゼロで当選確率を上げることができます。

JR九州の株式購入を検討していて、まだ口座をお持ちでない方であれば、まずは元引受取引参加者等に名前を連ねている以下のネット証券に口座を開設するとよいでしょう。

※2016年9月16日追記:カブドットコム証券でも取り扱いがあります。

SBI証券とは?

個人投資家売買シェアNo.1。ネット証券における2015年IPO件数NO.1。店頭配分以外の70%が完全抽選。

>>SBI証券の公式サイトで口座開設(無料)
>>SBI証券の詳細解説を見る

SMBC日興証券とは?

大手(総合)証券会社だがオンライントレードサービスも充実。オンライントレードの手数料はネット証券レベルの魅力的な水準。IPO銘柄数がきわめて多い(ネット証券における2015年IPO件数No.2)。抽選方式で割り当て。

>>SMBC日興証券の公式サイトで口座開設(無料)
>>SMBC日興証券の詳細解説を見る

マネックス証券とは?

少額投資の際の手数料が低めでオンラインセミナーも充実する長期投資家の味方。米国株式取扱数No.1。ネット証券における2015年IPO件数No.3、100%完全平等抽選

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>>マネックス証券の詳細解説を見る

松井証券とは?

少額投資手数料が無料。ミドルやシニア層の支持が厚い。IPOは70%が完全平等抽選。

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カブドットコム証券とは?

三菱UFJフィナンシャルグループのネット専業の証券会社。IPOの取扱銘柄数が近年増加傾向。人気のIPO銘柄を狙う方は要注目。

>>カブドットコム証券の公式サイトで口座開設(無料)
>>カブドットコム証券の詳細解説を見る

5 まとめ

JR九州の解説はいかがでしたか?JR九州の上場は東日本、西日本、東海に次いで4社目。四国、北海道とともに「3島会社」と呼ばれる3社からは初めての上場です。JR九州の上場は2016年7月15日に上場したLINEに匹敵する大型案件になりそうです。今後もその動向に注目したいと思います。

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