慶應大発ベンチャー・スパイバーのIPOはあるか-上場時主幹事や時価総額

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皆さんは、「Spiber」という会社をご存じですか?海外の会社ではありません。同社は、山形県に本社を置くれっきとした日本企業。しかも取り扱うのは“クモの糸”という、一風変わったバイオベンチャーなのです。

そのSpiberが大型資金調達をして注目されています。「近いうちに上場するのでは」と期待されているのです。

そこで今回は少し趣向を変えて、今後のIPOの期待銘柄として、Spiberの成り立ちや事業、今後の展開などについて分析してみたいと思います。

【ざっくり言うと】

  • Spiberは、慶應義塾大学発のバイオベンチャー企業です。同社の開発した「合成クモ糸繊維」は軽量で強靭なため、アパレルや自動車部品、宇宙、防衛まで様々な用途への活用が期待されています。
  • 2015年に大型資金調達を行ったことから、上場が近いのではと期待されていますが、同社の当期純利益は赤字が続いており、業績動向としては厳しい状況にあると言わざるとえません。証券取引所ごとの上場基準に照らし合わせると、すぐに上場は難しいかもしれません。
  • 現状ではIPO株としての可能性はまだまだ未知数です。今後を見越して口座開設をしておくのなら、IPO株の取り扱い実績が多いSBI証券がおすすめです。

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1 スパイバーのIPOはあるか、時期はいつか

“クモの糸”で有名になってきている慶應義塾大学発のベンチャー企業Spiber株式会社(以下、スパイバー)はIPOをするのでしょうか。

2015年10月には、同社は約95億円もの第三者割当増資を行っています(会社からのリリースはこちら)。1回での資金調達の額としては国内ベンチャー企業としては大型の資金調達といえます。今回の第三者割当増資には、「ザ・ノース・フェイス」などのアパレルブランドを取り扱うゴールドウィン(8111)も30億円出資しているのには注目です。

これだけの資金調達を今回したことから、近い将来上場が期待できそうですね。スパイバーが上場する前に大企業による企業買収もあるのでは、とお考えの方もいるでしょう。

米国であれば大手企業による買収などが日常茶飯事として期待できるのですが、日本では大手企業が上場前のベンチャー企業を丸ごと買収するというのはあまり聞いたことがありません。たとえば、米国の大手化学メーカー等が買収に来れば上場前に買収されその後上場はなくなるかもしれませんが、そうでなければ上場の可能性が高いといえます。

一方、炭素繊維で世界でも優秀企業の東レなどが積極的にスパイバーのような素材メーカーである技術開発型ベンチャーを買収するようなスタンスになると株式市場はさらに活性化するかもしれませんね。

では、仮にスパイバー上場するとすればいつ頃になるのでしょうか。これは後ほど会社の決算状況や各取引所の上場基準を振り返りながら見ていきましょう。

2 スパイバーはどのような会社か

スパイバーは、慶應義塾大学先端生命科学研究所において、関山和秀氏(同社代表取締役)が慶應義塾大学環境情報学部在籍時に菅原純一氏(現同社取締役兼執行役)と2004年から始めた研究がきっかけとなり設立された研究開発型バイオベンチャーです。

では、どのような開発を行っているかといえば、クモ糸由来のたんぱく質をもとにアミノ酸配列や遺伝子配列情報を組み合わせる人工合成技術を確立し、その技術と発酵生産と紡糸技術を組み合わせることで、天然のクモ糸ほどの強靭な繊維を生み出すことに成功しています。

同社の“合成クモ糸繊維”はその軽量で強靭な素材であることから、アパレルや自動車部品、宇宙、防衛までの様々な用途に期待がされています。

自動車部品としては小島プレス(未上場)という自動車部品メーカーがスパイバーに協力し、アパレル企業ではゴールドウィンが第三者割当増資に応じています。今後も各事業領域でのパートナーによる出資や業務提携は大いにありですね。

2.1 スパイバーの拠点は山形鶴岡市-バイオベンチャーのメッカ

同社の本社は意外といっては失礼かもしれませんが山形県鶴岡市にあります。これはなぜかといいますと、慶應義塾大学先端生命科学研究所とともに慶應義塾大学鶴岡タウンキャンパスが鶴岡市にあり、慶應義塾大学にとってはゆかりのあるまちとなっているからです。

スパイバー以外にも山形県鶴岡市には慶應大発のベンチャー企業としてヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ株式会社(6090、以下HMT)があり、慶應義塾大学先端生命科学研究所との技術提携などにより事業展開し上場した企業もあります。HMTの大株主にはHMTの設立の基盤となった慶應義塾大学先端生命科学研究所・元所長の曽我朋義氏や現所長の冨田勝氏も名を連ねており、日本の技術開発型ベンチャー企業としては注目です。

2.2 スパイバーの業績動向は厳しいといわざるを得ない

今後に期待できるスパイバーですが、業績はどうでしょうか。図表1は、同社の当期純利益と株主資本推移を見たものです。同社の設立は2007年9月ですが、データは2009月12月期からのものとなっています。

過去の業績では、2009年から2015年12月期まで当期純利益は赤字が続いています。2015年12月期の当期純損失は約12億円にも及びます。

当期純損失が継続する一方、株主資本は増資を繰り返すことで詰みあがっています。2015年10月には約95億円の第三者割当増資を行ったことは既にコメントしました。結果、2015年12月期は株主資本が約120億円にも及んでいます。

今回増資をしたことで、2015年12月期のように当期純損失として12億円レベルの赤字を計上しても現在の株主資本であれば約10年は持ちこたえられるようになりました。

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図表1:スパイバーの当期純利益と株主資本推移(百万円)
出所:SPEEDAと会社資料をもとに株1編集部作成

ただし、売上高を見ると、2014年及び2015年12月期の売上高はいずれも2億9,200万円と人件費や固定費の増加などを考えると厳しい状況にあります。もちろん、今回増資をした背景には将来の事業機会として有望な案件があるのでしょうから、売上の拡大とともに黒字化にも期待したいところです。

2.3 証券取引所ごとの上場基準に見るスパイバーの上場時期と想定時価総額

スパイバーの現在の収益状況を見たところ、過去より当期純損失が続いていることと赤字の金額の幅が拡大していることは上場準備をしているとすれば決して良い状況とは言えません。ここでは、証券取引所ごとの利益や時価総額などに関する上場基準についてまとめてみます。

スパイバーの現状と図表2における上場審査基準をみていくと、スパイバーが2017年や2018年に上場することを考えれば東証二部はあり得るかもしれませんが、2016年に上場を予定しているのであれば、マザーズかJASDAQということになるのでしょうか。

時価総額を考える際に、利益は出ていないという前提ではPBR(純資産倍率)が参考になります。株主資本が約120億円ということですから、東レのPBR1.5倍(2016年7月25日実績ベース)を参考にすれば、少なくとも時価総額は180億円程度にはなります。

もっともその際に当期純利益がどの程度計上できているかも重要となります。上場時のスパイバーが超成長企業であるという前提に立ちPERとして60倍で評価されているとしても当期純利益で3億円は出ていないといけません。現状の業績では2017年にその水準になっているというのは難しくみえます。

ただ、慌てて上場するよりもじっくりビジネスモデルを確立して多くの個人投資家が投資をして良かったと思えるような持続的な企業として成長してほしいとは思います。

東京証券取引所(市場第一部) 東京証券取引所(市場第二部) マザーズ JASDAQ
(スタンダード)
流通株式時価総額(上場時見込み) 250億円以上 20億円以上 10億円以上 5億円以上
利益の額又は時価総額 以下のいずれかに適合すること

  • 最近2年間の利益の額の総計が5億円以上であること
  • 時価総額が500億円以上
以下のいずれかに適合すること

  • 最近2年間の利益の額の総計が5億円以上であること
  • 時価総額が500億円以上
特になし 以下のいずれかに適合すること

  • 最近1年間の利益の額が1億円以上であること
  • 時価総額が50億円以上

図表2:取引所ごとの上場審査基準抜粋まとめ
出所:日本取引所グループのウェブサイトをもとに株1編集部作成

3 スパイバーのIPO株投資を検討する際の注目ポイント

スパイバーのIPO関連の情報が入手でき次第随時アップデートしていきます。

想定株価(A) 未定
仮条件(B) 未定
公募価格(C) 未定
初値(D) 未定
上場時の発行済株式数(E) 未定
想定時価総額(F) 未定
上場時の市場流通株式数(G) 未定
オファリングレシオ(H) 未定

4 スパイバーのIPO株を入手するための手順

スパイバーのIPO関連の情報が入手でき次第随時アップデートしていきます。ただし、これまでのIPO株の実績を見ていくとSBI証券が取り扱う比率は高く、事前に口座を開設しておくには越したことはないですね。

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5 まとめ

いかがでしたか。クモの糸が合成できるなんて、とても夢がありますよね。素材としても、いろいろな用途への実用化が期待されています。じっくりビジネスモデルを確立して、持続的な企業として成長していく過程に上場があるのか、今後も注視していきたいと思います。

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