【お土産ももらえる?】株主総会に行ってみよう

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6月は株主総会の話題が多いですね。法の定めにより、期末から3か月以内に株主総会を開かなければならないので、3月期決算企業が多い日本ではこの時期に株主総会が集中するのです。今年は株主総会での「お土産」を廃止する企業が非常に多いことも話題になっていますが、そもそも株主総会では何をしているのでしょうか。

今回は株1の編集部員が今年出席したコマツ(6301)の株主総会を例に、株主総会とはどういったものなのかをレポートします。

【ざっくりいうと】

  • 株主総会は、株式会社が株主を構成員として意志決定を行う会社の最高議決機関です。取締役・監査役の選任、定款の変更、会社の解散・合併などについて決定します。
  • 毎決算期に1回の「定時株主総会」と必要に応じて行われる「臨時株主総会」があります。
  • 定時株主総会の平均所要時間はおおよそ1時間です。出席するとお土産をもらえる会社もあります。

目次

1 コマツ(6301)の株主総会に行ってみた

2016年6月22日、株1の編集部員が、コマツ(小松製作所)の株主総会に出席しました。その時の様子は次の通りです。

1.1 6月上旬 招集通知が届く

3月期決算企業の定時株主総会に出席する権利を持つのは、3月末の株主名簿に記載されており、かつ単元株以上を所有する株主です。株主は1単元あたり、1つの議決権を持ちます。3月末の株主名簿に記載されるためには、「権利確定日」と呼ばれる決算期末日時点でその会社の株式を保有していなければなりません。そのためには、権利確定日から数えて4営業日前の「権利付き最終売買日」までに株式を保有しているか、株式購入の手続きを済ませていることが必要です。

これについては、苦い思い出があります。コマツ株を初めて購入したときのことです。当時株のことを何も知らなかった編集部員は「権利付き最終売買日」ではなく、なんとその翌日の「権利落ち日」にコマツ株を購入してしまったのです。結果、その年は株主総会への出席はおろか、配当ももらうことができませんでした。※実話です。

そして、今年。実は5月に引越した後、証券会社に住所変更の連絡をしていなかったため、招集通知が届くのか心配していたのですが無事に転送されてきました。封筒の中には招集通知と議決権行使書が入っています。株主総会に出席するには、議決権行使書が必要です。もし出席しない場合は、議決権行使書ははがきになっているので、議案の賛否を○×で記入して返送しましょう。

1.2 株主総会当日

1.2.1 株主総会

大勢の株主が参加する株主総会は、大きなイベント会場やホテルの宴会場、劇場やホールなどで開催されるケースも多く見られます。今年のコマツの総会会場は東京ビッグサイト。22日は交通機関が各所で乱れており、やや遅れて到着。

受付で議決権行使書を出すと、出席票(コマツの場合は首から下げるタイプのもの)とお土産を渡され、会場に入ります。係員の誘導に従って着席。会場は非常に広く、ブロックごとに分けられています。また、会場内にトイレがあり、出席株主では途中で使っていた人もいたようです。

総会はまず、事業の経過を説明する「事業報告」からはじまり、その後、議案に関する質疑応答に入りました。質疑応答は、挙手した出席株主を議長である社長が指名するスタイルです。今回の質問者は9名。中期経営計画が未達に終わった理由などに対して、社長や担当役員がスライドを用いながら丁寧に回答していました。「英国のEU離脱を問う国民投票にあたり、英国人の従業員に残留に投票するよう呼び掛けているのか」という趣旨の質問もありましたが、大橋社長は「そういうことはしていない」と回答しました。

出席株主数は1,544人で、所要時間は1時間49分。うち、質疑応答は約1時間でした。

1.2.2 事業説明パネルや本物のショベルカーを展示

株主総会の終了後、コマツは例年「展示の場」を設けています。総会会場後方のパーテーションが取り外されると、そこに巨大な展示場ができており、コマツが誇る巨大なショベルカーやブルドーザーが展示されているのです。

株主は順次展示会場に移動するのですが、ここでも軽食がもらえました。今年は木村屋総本店のあんぱんと総菜パン、紙パックの紅茶飲料でした。展示会場の周りにはテーブルと椅子が設けられており、ここで軽食をとりつつ、展示内容を見ることができるようになっています。

展示されている車輌には実際に乗り込んで写真を撮ってもらうことができます。これが目当てという方も多い様子。お子様連れの出席者も多く見かけました。


ちなみに今年のお土産は、ペットボトルケースとショベルカーのキーホルダー、そしてブルドーザーのミニカーでした。

1.3 翌日以降-決議通知が送られてくる

総会翌日以降、決議通知が株主に送付されます。決議通知とは、総会で決定した事項を通知するもので、株主総会を欠席した株主に対しても送られます。今回のコマツの場合、議案に「剰余金処分」があり、配当金をいくらにするかが総会で決定されましたので、配当金がいくら振り込まれるかを記した「配当金計算書」も同封されています。なお、配当金は口座振り込みを選択した場合、効力発生日に振り込まれます。

また、事業の概況や業績、今年予定されている株主向けイベントの内容などが説明された「株主の皆さまへ」という冊子も同封されていました。

2 株主総会とは

株主総会は、株式会社が株主を構成員として意志決定を行う会社の最高議決機関です。取締役・監査役の選任、定款の変更、会社の解散・合併などについて決定します。

株主総会には、毎決算期に1回の「定時株主総会」と必要に応じて行われる「臨時株主総会」があります。定時株主総会を開催する時期については各社とも定款に定めています。法の定めにより、期末から3か月以内に株主総会を開かなければならないので、3月期決算企業が多い日本では、6月に定時株主総会が多いのです。

出席できるのは、3月期決算企業の場合、3月末の株主名簿に記載されており、かつ単元株以上を所有する株主です。株主は1単元あたり、1つの議決権を持ちます。

2015年の経済産業省のサイトによれば、現在では1時間程度が平均となっているようです。また、証券代行サービスを展開している三井住友信託銀行の調べによると2015年の平均所要時間は50分とのことですから、概ね1時間という理解で良さそうです。

一方で、1997年に商法が改正される前の平均所要時間は30分程度でした。時代を経るにしたがって長時間化しているといえます。長時間化の理由としては、企業が出席する株主に対して映像やスライドなどを使い丁寧に説明をする傾向が強まっていること、質疑応答の時間が長くなっていることなどがあげられます。

3 お土産はどうなる?

2016年6月21日の日経新聞電子版には「消える株主総会のお土産 遠のく個人株主」という記事が掲載されていました。今年6月開催の総会では、オリックス(8591)や明治ホールディングス(2269)など100社以上がお土産の廃止を決めたというものです。

明治ホールディングスは毎年お菓子の詰め合わせをお土産にしており、数年前の株主総会では会場前に長蛇の列ができていたものです。実際、お土産をもらうと総会に出席せずに帰る株主もかなり多い印象でした。

そのほかにも、ソニー(6758)は2014年にお土産を廃止し、出席者がなんと半減したといいます。焼き鳥弁当をもらえることで有名だった東芝(6502)も、不適切会計に揺れた2015年6月の株主総会から、お土産はもちろん、焼き鳥弁当もなくなってしまいました。

数年前までは総会への出席者を増やすために各社お土産にも趣向を凝らしている印象でしたが、ここにきてそうした流れにも変化が見えてきています。

4 まとめ

年に1度の株主総会では、事業の内容や動向を株主にわかりやすく伝えられるよう工夫する企業が増えています。一方、出席者を増やす策のひとつだったお土産については廃止する企業も出てきています。

2016年6月最終週は27日から29日の3日間で1,200社を超える企業の株主総会が開かれます。経営者のコメントなどにも注目したいところです。

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