株価チャートの見方入門。株初心者でもわかる徹底図解

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インターネットや雑誌、様々な株式投資の資料には「株価チャート」という言葉が数多く出てきます。株式投資を始めたばかりの方、あるいは、株式投資を始めようとしている方は、この「株価チャート」という言葉に戸惑っているのではないでしょうか。

株価チャートを見られるようになると、株式投資での投資判断の精度やスピードを大きく向上することができます。そこで、この記事では株価チャートについて説明し、さらに、株価チャートの適切な使い方をお伝えします。

目次

1 チャートとはグラフのこと

簡単に言うと、「チャート」=「グラフ」です。グラフという言葉に置き換えると、少しイメージしやすいのではないでしょうか。

グラフには数多くの種類があります。正確な定義はないのですが、その中で“一目見てパッと状況が分かるように図で表したもの”をチャートと呼んでいるようです。株式投資の世界では、株価など相場の動きをグラフにしたものをチャートと呼んでいるのですが、それを見るとパッと状況が分かるものになっているのです。

1-1 株価チャートは、これまでの変化を時系列で見るもの

多くの人は、「現在の株価」が与えられただけでは、それが高いのか安いのか、買うべきなのか売るべきなのかを判断することはできません。投資すべきかを判断するための情報が必要になります。その情報の1つが、株価がこれまで上がってきているのか、下がってきているのかというものです。株価チャートは、その株価がどのように動いてきたのかを一目見てパッと理解できるように使われています。

例えば、次の図表1を見て下さい。これは一番簡単な形で表した日々の株価のグラフ、つまり株価チャートです。ある日の株価が1,000円だとしても、その1,000円が高いのか安いのか分かりません。しかし、このようにチャートにしてみると、株価は基本的には上がって推移しており、1,000円はかなり高い水準にあると見ることができます。まさしく、一目見て状況がパッと理解できるのではないでしょうか。

 

図表1

 

2 「ローソク足」は株式投資で使う株価チャート

株価チャートとは、株価の動きを一目見ただけで状況をパッと理解できるグラフということでした。ところが、株式投資で頻繁に出てくる株価チャートは、図表1より独特の形を使用しており、それが「ローソク足」と呼ばれるものです。ここでは、そのローソク足チャートの意味と使い方を説明します。

2-1 便利な「ローソク足」は4つの株価で作成

取引時間の間、株価は常に変化しています。ローソク足の説明の前に、重要な4つの価格を押さえておきましょう。それは、「始値」=その日の取引で最初に付いた株価、「高値」=その日の取引で付いた一番高い株価、「安値」=その日の取引で付いた一番安い株価、「終値」=その日の取引の最後に付いた株価、です。

ローソク足は長方形の形をしていますが、「始値」「高値」「安値」「終値」の4つを一度に示すことができる大変便利なものです。そして、日々の「ローソク足」を「日足」と言います(週ごとならば「週足」、月ごとならば「月足」です)。

また、始値より終値が高くなった時は、ローソク足の「柱」の部分を白で記しますが、これを「陽線」と呼んでいます。逆に、始値より終値が安くなった時は、「柱」の部分を黒塗りで記し、これを「陰線」と言います。さらに、始値以上に高値を付けた部分を線で表し、これを「上ヒゲ」、安値を付けた部分を「下ヒゲ」と呼びます。

ローソク足の2つのパターンである陽線と陰線(図表2、図表3)を示しますので確認してみましょう。

 

図表2

図表3

このローソク足は、一目見ただけで、重要な4つの株価をパッと理解することができます。しかも、それだけでなく、その日の株価の動きもパッと分かります。

ローソク足の柱の部分が白(=陽線)ならば、その日の取引は終わりの方の株価が高かったとなりますし、柱の部分が黒(=陰線)ならば、その日の取引は始めの方の株価が高かったとなります。そして、上ヒゲと下ヒゲの長さを見ることで、その日の取引時間の間に株価がどれだけ変動したかが分かるのです。

2-2 ローソク足から読み取れる株価の動きは3点だけ

ローソク足の基本項目を覚えたところで、ローソク足から株価の動きを読み取ってみましょう。図表4の①は、「陽線」であり、始値700円、終値800円、高値850円、安値600円ということが分かります。

このローソク足から分かることは、1)始まった時の株価よりも終わった時の株価の方が高かった、2)その日に一番高かった株価は800円、3)一番低かった株価は600円、という3点です。しかし、ローソク足から読み取れるのは、そこまでです。図表2のように動いたかもしれませんが、もしかしたら、もっと激しく動いたのかもしれません。ただ、まずはこの3つの動きを把握することが重要です。

同じように図表4の②を見てみましょう。このローソク足は、「陰線」であり、始値1,000円、終値800円、高値1,150円、安値700円ということが分かります。

同じように、このローソク足から分かることは、1)始まった時の株価よりも終わった時の株価の方が低かった、2)その日に一番高かった株価は1,150円、3)一番低かった株価は700円、という3点です。図表3のように動いたかもしれませんが、もしかしたら、もっと違う動きを示したかもしれません。それでも、この3つの動きを押さえることができますし、まずはそれで十分と言えます。

 

図表4

2-3 ローソク足チャートの実例を見てみる

それでは実際に、銘柄のローソク足のチャートを見てみましょう。既にネット証券等に口座をお持ちの方ならば、パソコンで簡単に見ることができます。また、まだ口座を持っていない方でも、Yahoo!ファイナンスなどのウェブサイトで見ることが可能です。

例えば、日本を代表する企業の1つであるトヨタ自動車(7203)の株価チャートを見てみます。ここには、2015年8月~9月の2か月間の株価チャート(ローソク足)を示しています。この2か月間でトヨタ自動車の株価は8,253円(7月末)から6,971円(9月末)へ大幅に下落したのですが、こうしてチャートにすると、様々な動きを一目見ただけでパッと理解できるのではないでしょうか。

 

図表5 トヨタ自動車の株価チャート(ローソク足)

 

2-4 ローソク足が長い時に株価は大きく動いている

このトヨタ自動車の株価チャートを見ることで、この2か月間で株価が大きく下げたのは、8月20日~23日頃と9月28日~29日の2回だったことが分かります。縦に長い「陰線」のローソク足が連続しているような状況の時です。逆に、株価が大きく上がったのは、8月25日~8月28日頃と9月10日~9月12日頃の2回でした。縦に長い「陽線」が比較的多く続く時になります。

一方で、この2か月間の日々の株価を見ると、陰線が20日あったのに対して、陽線もほぼ同じ19日ありました。少し意外かもしれませんが、1日の株価の動きを見る限りでは、「終値が始値より高かった日(上昇した日)」と「終値が始値より低かった日(下落した日)」がほぼ同数でした。つまり、このトヨタ自動車のように一定期間で株価が下がった場合でも、陰線と陽線の本数はあまり関係ないと言えるのです。

3 ローソク足と合わせて見ておきたい指標

3-1 移動平均線で株価のトレンドを把握することができる

ローソク足チャートを見ることで、日々の株価の動きと、一定期間における時系列の動きが分かります。株式投資での投資判断をさらに的確なものに近づけるため、このローソク足チャートに加えて覚えておきたいのが「移動平均線」です。移動平均線を読み取ることができれば、短期間や長期間の株価の動き(トレンド)がパッと理解できるようになります。

移動平均線とは、一定期間の「終値」の平均値をつなぎ合わせて線にしたもののことを言います。「5日移動平均線」ならば、直近5日間の終値の平均値を1日ずつずらして繋げて作成された線のことです。

例えば、10月5日の値は10月1日~5日の間の毎日の終値の平均値、10月6日の値は10月2日~6日の間の終値の平均値、10月7日の値は10月3日~7日の間の毎日の終値の平均値…というように計算します。この毎日の値を繋ぐことで、5日間という短期間での株価のトレンドを把握することができます。

実際には、端末やパソコン、スマートフォン等でローソク足チャートを見る場合、移動平均線が表示されていることがほとんどです。株式投資で主に用いられるのは、5日移動平均線、25日移動平均線、75日移動平均線、200日移動平均線です。また、13週移動平均線、26週移動平均線が使われる場合もあります。

移動平均線の特徴は、株価が上昇トレンドにある時は右上に向かい、下降トレンドにある時は右下に向かうということです。短期間(5日や25日)、中期間(75日)、長期間(200日)での株価のトレンドを知るのには、見やすくて非常に便利です。

3-2 出来高はその銘柄の「人気度」を示す物差し

一般に、出来高とは売買が成立した株数のことを言います。毎日の出来高、あるいは、一定期間における出来高を知ることで、その投資対象にしようとする銘柄の「人気度」を知ることができます。出来高が多ければ多いほど、この人気度が高いことになります。そして、その人気度が高ければ高いほど、その株価の動きを予想しやすくなります。

端末やパソコン、スマートフォン等でローソク足チャートを見ると、一番下に棒グラフが表示されています。この棒グラフが出来高(株式の取引量)を表しています。出来高は直接、株価に影響するものではありません。ただ、出来高が増えた時は、株価のトレンドが変わる場合が多々あります。逆に言うと、この出来高が増えないうちに株価が大きく変動する場合、それは一過性の場合が多くなります。

ただ、出来高から株価の動きを予想することは難しい場合があります。株式投資を始めてまだ間もない時は、この出来高は参考程度に活用することで十分でしょう。

 

図表6 トヨタ自動車の株価チャート(出来高)

 

4 まとめ

株式投資で主に使われる株価チャートは、ローソク足チャートです。ローソク足は4つの株価(始値、終値、高値、安値)を1つのアイテムに集約しており、1日の株価の動きを把握することができます。そして、ローソク足が並ぶことで、株価の動きを一目見ただけで状況をパッと理解できるグラフとなります。

ローソク足チャートを見ることができると、株式投資での投資判断の精度やスピードを大きく向上することができます。しかし、株式投資を行う際には、その銘柄の短期的なトレンド、長期的なトレンドを見ることも重要です。ローソク足と一緒に、移動平均線なども一緒に活用することが大切です。

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