株とFXの違いはなに?株とFXの違いを徹底解説

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投資を始める時に、株かFXか悩む場合もあると思います。

筆者は、学生時代に株式投資を始めました(当時はFXという選択肢がほぼありませんでした)。その後、証券会社で株式投資に関する仕事をするようになり、FXにも挑戦しました。

両方に挑戦した感想としては、株とFXのどちらがよいか(儲かるか)は人によって全く異なると感じています。筆者の場合、貧しい学生時代に株を、社会人でそれなりに資金力がついてからFXを始めたこともあり、FXの方が株よりもはるかに儲かりました。

ただ、FXは1000万円勝った翌年に500万円負けるなど、成績が安定せず、勝ちも負けも大きくなりがちでした。基本的にデイトレードのような短期投資が中心になり、理詰めで予想をするのが困難なため、精神的にも落ち着かないという問題もありました。

株はある程度理詰めで考えて、数か月、1年という時間軸でじっくり投資できたのが、筆者にとっては心地よかったです。

上記は筆者の個人的な体験談ですが、株とFXのどちらがよいか(儲かるか)は人によって異なります。ここでは投資初心者向けに、株とFXのどちらが自分にあっているかを判断できる材料をまとめました。

目次

株とFXの違い

以下が株とFXの違いです。FXが手軽で簡単と言われる理由、そしてその一方で、勝ちも負けも大きくなりがちな理由がここに集約されています。

株式 FX
投資対象 企業の株式 通貨
投資対象の数 3,500社以上 50通貨程度
取引時間 平日の9:00-11:30、12:30-15:00 平日24時間
金利・配当の受取 年1-2回程度 毎営業日
値動きの大きさ ~年10倍も ~年30%
主な変動要因 企業業績、バリュエーションなどミクロ要因、需給 金融政策、政治など、様々なマクロ要因、需給
レバレッジ 信用取引で約3.3倍
現物取引はレバレッジ無し
最大25倍

投資対象:株は企業(3,500社以上)、FXは通貨(50通貨程度)

株とFXの違いを投資対象という切り口で見ていきます。株の場合は、ソニーや任天堂など、上場している企業の株式が対象となるので、投資対象は3,500社以上あります。

一方のFXは、正確には「margin Foreign eXchange trading」の略であり、日本語では外国為替証拠金取引となります。外国為替、つまり米ドルやユーロなどの通貨が投資対象なのです。

マイナーなものまで含めると、50通貨ほどが投資対象として挙げられます。ただ、取引量が少ない通貨も多く、売りたいときに売れないという致命的な問題が起こり得ます。

十分な取引量があることを前提とすると、米ドル、日本円、ユーロ、ポンド、カナダドル、豪ドル、NZドル、南アフリカランドの8通貨の取引が中心になります。

FXは株よりも手軽で簡単と言われることがあります。その理由は、多くの方はドル、ユーロ、ポンドなどのメジャー通貨に絞って取引をするので、FXは投資対象を選ぶ労力が少ない点でしょう。

取引時間:FXは平日24時間

日本株の取引は、平日の9:00-11:30、12:30-15:00に行われます。SBI証券では夜間取引のサービスも提供していますが、基本的に株取引は日中との認識で大きな問題はないと思います。

もちろん、ネット証券を使えば、仕事が終わって夜の内に株の売買注文を出すことはできます。しかし、注文が成立するのは、上記の時間帯に限られます。

一方のFXは、平日は24時間取引可能なので、仕事が忙しい方にとっては明らかな利点と言えます。ただし、深夜に取引に熱中して寝不足になる人も多いので注意してください。

金利・配当の受取:FXは毎営業日、株は年1-2回程度

株取引の場合は、定められた日(権利確定日と言います)に株式を保有していると、配当金をもらえるケースがあります。配当金がもらえるかどうかは、投資対象となる企業の業績と配当方針次第ですが、配当を出す企業は年に1回か2回の配当を実施します。

配当をもらえる権利が確定する日(権利確定日)の直後には、「もう配当もらえる権利をゲットしたから株を売ってしまおう」と考える投資家も多く、株価が大きく下がることもありますが、配当は株式投資の醍醐味の一つです。

高配当銘柄を持ち続けて、配当金で生活している人もいるくらいです。

FXでは配当はもらえませんが、スワップ金利(スワップポイント)と呼ばれる金利差を受け取る、あるいは支払う仕組みがあります。

例えば、高金利通貨である豪ドルを買って、低金利通貨である円を売っている場合、金利差(豪ドルの金利ー円の金利)を365日で割った分を、営業日ごとに受け取ることができます(実際には、水曜日に3日分支払われる等のタイムラグはあります)。

為替レートが安定的に推移している時は、高金利通貨を買って、低金利通貨を売った状態を保つことで、スワップ金利が毎営業日チャリンチャリン入ってきます。

しかし、一度為替レートが激変すると大きな損失につながることも頭に入れておく必要があります。

金利・配当の受取という点では、株とFXでどちらかが圧倒的に有利ということはないでしょう。

株とFXのリスクの違い

ここからは株とFXのリスクの違いについて紹介していきます。株は企業の株式、FXはが通貨と投資対象が異なるので、もちろん、それぞれリスクが異なります。リスクを理解したうえで投資を行いましょう。

株のリスク

株式投資には大小問わず多くのリスクが存在しますが、代表的なリスクは価格変動リスクと信用リスクです。

価格変動リスクとは、日々の値動きのことを指します。株価が変動する要因は様々で、企業の決算やニュース、さらには国内外の経済状況、政治などにも影響されます。これらの要因を踏まえ、買いたい人、売りたい人の需給関係で価格が決まり、変動しているのです。

信用リスクとは投資先企業が経営状況などにより、価格が変動することを指します。とくに発行体企業が経営不振に陥ったり破綻したりした場合、価格が急激に下落したり、最悪の場合、投資資金が回収できない場合もあります。

FXのリスク

FXのリスクは金融商品としてのリスクと為替に関するリスクなど多くのリスクが存在します。

為替変動リスク、金利変動リスク、レバレッジに関するリスク、流動性リスク、スリッページリスク、取引システムの利用に係わるリスクなどとなります。為替変動リスク、金利変動リスク、流動性リスクなどは通常の為替取引でも発生するリスクです。

レバレッジに関するリスク、スリッページリスク、取引システムに関するリスクなどは、通常の外貨の取引にはない、FX特有のリスクです。

FXは取引の仕方によっては、リスクの高い投資になります。FXに興味がある人は、投資をする前にこれらのリスクについて把握してから、投資を始めるようにしましょう。

株とFXのチャートに違いはある?

株とFXのチャートの見方に基本的に違いはありません。横軸が時間で縦軸が株の場合株価、FXの場合は為替の価格になります。

ローソク足などの見方も同じで違いはありません。株のチャートの見方をマスターすれば、チャートの見方に違いがないので、FXのチャートもみることができるでしょう。逆も同じです。

株は企業の株式、FXは通貨であるため、市場が違い、規模や流動性が違いますから、チャートの動きにはもちろん違いはあるでしょう。いずれにせよ、株をはじめるにしてもFXをはじめるにしてもチャートの見方はマスターしておく必要があることを覚えておきましょう。

値動きの大きさ:株の方が値動きが大きい

株式投資の魅力は、株価が10倍になるなど、企業の業績に応じて大化けすることです。

ミクシィの株価チャートを見て下さい。2014年前半には、「ミクシィは終わった」などと厳しい意見が多数聞かれましたが、モンスターストライクというゲームの大ヒットにより、あれよあれよという間に株価は約4倍にまでなりました。

こうした短期間で株価が急騰する例だけでなく、ユニクロを運営するファーストリテイリングなど長い時間をかけて株価が何十倍にもなった例はたくさんあります。

一方のFXは、1年間で30%も変化すれば、かなり大きい方だと言えます。アベノミクスで円安、円安と騒いでいますが、価格の変化率という観点では株の方が変化率が大きい、つまりチャンスもリスクも大きいと考えて差し支えありません。

変動要因:実は為替はプロでも分からない

選ぶのが簡単で、24時間取引できて、価格の変化率も小さいFXの方が初心者向きなのかと考えてしまいますが、理詰めで予想をするのが困難なため、精神的にも落ち着かないことがあります。

FXは世界各国の金融政策、政治、気象状況など、ありとあらゆるマクロ要因の影響を受けて変動します。

長期的には1ドルX円になるというのを導き出す理論などもあるのですが、変数が多すぎて、一体それがいつになるのかが全く分かりません。

筆者も大手外資系証券でプロの証券アナリストをしてきましたが、同僚たちとも「為替だけはほんと分からないよね」と話していたことを思い出します。良く分からない以上、長期間保有する根拠はなく、小刻みに売買することになります。

株もマクロ要因の影響を受けますが、株価にとって最も重要な要因は企業の業績です。

たとえば、ドル/円が1円安くなったら、その企業の利益がいくら減るか等、事前に業績に影響を与えうる要素を洗い出して、リスクを把握することができます。

その点で、FXに比べると、ずいぶん合理的な予想が立てやすく、業績の伸びが予想される株を長期間保有するという、のんびりした投資方針が成立するのです。

レバレッジ:値動きは株の方が大きいが、FXの方がハイリスクな理由

株取引には、現物取引と信用取引の2種類があります。

現物取引というのは、普通の株取引のことで、5万円の資金があれば、最大5万円分の株を買うことができます。10%値上がりすれば5,000円の利益、10%値下がりすれば5,000円の損失です。

信用取引というのは、自己資金の約3倍まで投資することができる取引です。自己資金以外の部分は証券会社からお金を借りることになります。

5万円の資金があれば、最大15万円分の株を買うことができます。10%値上がりすれば1万5,000円の利益、10%値下がりすれば1万5,000円の損失です。自己資金を超えた取引を行うことを「レバレッジをかける」と表現します。

FXについては、自己資金の25倍までレバレッジをかけることができます。自己資金5万円なら、125万円分の通貨を買うことができます。10%値上がりすれば12万5,000円の利益、10%値下がりすれば12万5,000円の損失です。

5 値動きの大きさ:株の方が値動きが大きい」では、FXの値動き自体は株よりも小さいと言いました。ところが、FXはレバレッジが大きいため、利益も損失も大きくなる傾向があるのです。

もちろん、自分でレバレッジを小さく設定することもできるので、FXに挑戦する人は一番最初は可能な限りレバレッジを小さくしてから始めましょう。

まとめ

株とFXのどちらが優れているということは一概には言えません。

FXは、投資対象を選ぶ手間がかからず、24時間いつでも取引ができる利便性がある一方で、経済のプロでも予測は難しく、レバレッジをうまくコントロールしないと怖い目に合います。

チャートをにらみながら、デイトレードのような頻繁な売買を苦にしない方には向いているのかもしれません。

株は、取引時間の制限があり、約3,500社の中から投資する会社を選ぶ必要があります。ただ、会社の業績の変動要素を考えて、業績リスクを把握することを楽しめる方にとっては、じっくりと付き合える投資対象と言えるでしょう。

株価変動リスクが大きいとはいえ、現物取引をしている限り、投資額が全部吹っ飛ぶこともめったにありません。

株かFXかは、ご自身のリスク許容度と好みの問題です。決めかねている人は、両方とも少額(5万円もあれば十分楽しめます)で挑戦してみて、馴染むのはどちらかを見きわめるとよいでしょう。

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