IPO株は儲かる――そんな話を聞いたことがある方が多いのではないでしょうか。IPOとはInitial Public Offeringの略称で、IPO株を新規公開株とも呼びます。2015年に日本郵政(6178)、かんぽ生命保険(7181)、ゆうちょ銀行(7182)がその株式を新規公開しましたが、新規公開株を買って上場日の朝一番で売却するだけで16%から33%の利益が出ました。
IPO株への投資に関心がある方は多いと思いますが、IPO株の会社名を聞いてもなじみのないことが多いと思います。少し心配になりますね。そこで、IPO株はどういうものなのかを説明します。そしてIPO投資は儲かるのか、それはなぜかを説明します。IPO株投資の不安を少しでも解消し、投資先の1つとして考えていただきたいと思います。
目次
1 IPO株は証券取引所の新人
IPOとはInitial Public Offeringのことです。具体的に説明すると、証券取引所にこれから上場しようとする企業が、その株式を上場する直前に一般投資家に買ってもらうことをいいます。
つまりIPO株というのは、証券取引所に上場することが認められ、今まさに上場する株のことを意味します。証券取引所の新人ということですね。
2 IPO株はエリート集団:新規上場は狭き門
IPO株は実は大変なエリートたちです。
現在日本取引所グループに上場している企業は約3,500社ありますが、年間に新規で上場する企業は少ない年で約20社、多い年で約200社になります。これは大変限られた数と言えます。新規上場は狭き門なのです。
狭き門として待ち構えるのは上場審査です。株式を上場すると取引所を通じて一般の投資家が自由に売買をするようになります。特にニューフェースであるIPO株は、必ずしも株式投資家に広く知られている存在ではありません。そこで、一般投資家の投資対象としてふさわしいかどうかを取引所が事前に審査し、それをパスしたものだけが上場を許されるのです。これが狭き門のゆえんです。
3 IPO株投資はエリートの新人を上場直前に先回りして買うこと
次にIPO株投資について説明しましょう。
IPO株投資は、上場審査にパスした新規公開株を株式上場直前に購入することです。言い換えると狭き門を突破した厳選された企業を上場直前に買うことです。
IPO株は上場が決まると、上場直前に一定数の株式が売り出されます。その企業の既存の株主(創業者や主要な役職者、あるいはベンチャーキャピタルなど)がその持ち株を手放したり、その企業が新たに新株を発行するのです。こうした株は、特定の証券会社を通じて一般投資家に幅広く販売されます。
こうした株の放出は、IPO株が上場する際に原則として必ず行われます。上場後、その株式が活発に市場で取引されるために、上場前に多くの株主を作っておかなければならないからです。
IPOの件数だけIPO株に上場前に投資するチャンスがある、これは投資家のみなさんにとって朗報ではないでしょうか。
ここで1つ、注意しておきたい点があります。いま話題にしているIPO株は、いわゆる「未公開株」とは異なります。IPO株は証券取引所の上場審査を通過し今まさに上場する株のことを言いますが、未公開株はまだ審査を通過していない、つまり本当に上場するかまだ決まっていない株を言います。IPO株は上場されると自由に売却ができますが、未公開株は売買の市場がないため売却に苦労します。IPO株と未公開株は別のものだと覚えておいてください。
4 IPO株投資は儲かりやすい
4.1 最初の一般株主に特典がある
IPO株投資は儲かる確率が高いと言われます。初めに日本郵政関連のIPOが利益につながったという例を取り上げましたが、これは一例にすぎません。IPOで投資家が支払った株価(コスト)に対して、上場後すぐに売却した場合の騰落率がプラスの時を「勝ち」とみなして勝率を計算すると、市場環境の悪い2008年や2010年などのごく限られた年を除いて勝率はおおむね70%以上になります。
勝率だけではなく、人気化する株は上場後初値がIPO時の株価の2倍、3倍など、何倍にもなるケースもあります。
ごく短期間の投資で勝率が高く暴騰する場合もあるとすれば、IPO株投資はとても効率のよい投資だと思いませんか。
これにはわけがあるのです。
IPO株は、最初の一般投資家に対して、その実力よりも少しだけ安く株を買ってもらう傾向があります。IPO企業にとって大事なことは株式上場後に株価が急落しないようにすることです。上場前の最初の一般投資家に少し割安な価格で買ってもらい、彼らが上場後に安値で売らないようにさせよう、企業はそう考えているのです。これがIPO株投資の高い勝率につながっています。
4.2 上場直後から人気化しやすい
IPO株が儲かる理由がもう1つあります。そもそもごく限られたエリートの新人たちですので、個人だけでなく機関投資家の多くも関心を持っています。上場直前に一般投資家に売られる株だけでは、すべての投資家のニーズに応えられない場合が多くなります。そのため、上場後も人気が高まり高値でも買いたいという機運が出てきます。これがIPO株が上場後に人気化し、上昇する理由です。
5 まとめ
いかがでしたか。
IPO株投資は、上場という狭き門をくぐった実力のある企業の株を、上場直前に特典付き価格で購入するというものです。特典付き、つまり実力より少し割安に手に入るのですから上場後の勝率が高くなりますし、人気化すれば株価が急騰することもあります。
なじみのない企業もたくさんIPOしてきますが、IPO株投資が儲かる仕組みだと知れば、株式投資の対象として魅力的だと理解いただけると思います。
IPO株が儲かるという理解は少しずつ認知されていますので、競争率も上がっています。こつこつ1件ずつIPOに申し込むこと、1件のIPOについて多くの証券会社を通じて同時に申しこむことがチャンスを手に入れる着実な方法です。手数を惜しまず、IPOにチャレンジしてください。