人気が高いIPO株の抽選に首尾よく当たったときはとてもわくわくします。特に難関の抽選の場合ほど、初値でどれだけ株価が高くなるのか期待が高まります。ではこのお宝のIPO株はいつ売るのが良いでしょうか。少しでも高く売りたいというのが人情ですが、欲張りすぎるのも心配です。そこで、長年IPO相場を見てきたアナリストの立場からIPO株の売り時について考えてみたいと思います。
目次
1 IPO株の上場初値は公募価格より高い傾向
IPO株が証券取引所に上場し、最初に取引が成立する価格のことを上場初値と言います。
IPO株は上場初値が公募価格を上回る傾向が顕著です。例えば2015年のIPO銘柄のうち、実に85%以上の銘柄の上場初値が公募価格を超えました。少し見方を変えると、公募価格自体が、投資家の需要に対して少しだけ安いところで決められる傾向があるとも言えます。
IPO株を運よく手に入れた方は上場直後すぐに含み益ができるわけです。
2 上場後、順調に株価が上がる保証はない
しかし、上場初値をつけた後、どの銘柄も順調に上昇するという保証はありません。
その理由はさまざまです。
IPO株に注目する投資家は、上場後すぐに次のIPO銘柄に目が移ります。IPOする銘柄が増えるほど、それまでIPOした銘柄の希少価値は薄まっていきます。だんだん人気が離散していく傾向があります。
上場する企業のオーナーの立場で考えてみると、一番企業価値が高くなるときを見計らってIPOしてくるはずです。
そして、時間の経過とともに経済環境や競争環境が変わり、その会社の新しさ、良さ、強さも変化していきます。
このように上場後の株価は、他の上場株とまったく同様に上げたり下げたりしていきます。したがって、上場初値こそ一番確実に利益が生まれ、その利益を確定するチャンスになるのです。
3 初値売りがベスト:上場日の取引開始前に「成行き売り」の発注を
手に入れた銘柄に特別の思い入れがなければ、上場初値で利益を確定し、次のIPO株の投資に頭を切り替えるのが得策です。
上場初値で売るのは、IPO株の抽選をした(ないし割当てを受けた)証券会社から、上場日の取引開始前に「成行き売り」注文を入れればOKです。
まれなケースですが、上場初日にすべての買い注文に見合った売り注文が出ない場合があります。成行き売りの注文株数すべてが当日に換金できるとは限りません。その場合、売れ残った株数については翌日取引開始前に改めて成行き売り注文を出すように気を付けてください。
4 まとめ
いかがでしたか。上場後の株価の動きは不確実です。せっかく手にしたIPO株の利益は、上場初値で実現し、次の投資機会に備えるのが良いでしょう。