目次
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買収
株式投資の世界では、怪しい意味ではなく、企業の買収を意味します。1つの会社が、別の会社の議決権株式の過半数(50%超)を買い取ったり、事業部門の資産を買い取ったりすることです。会社がゼロから新規事業を立ち上げるよりも、素早く新規分野に進出することが可能になります。度重なる制度変更を経て、株式交換、会社分割、持株会社等に関する手続きが簡素化されており、企業買収の件数は増加しています。また、上場会社に関する企業買収が発表されると、買収した会社、買収された会社ともに株価が大きく変動するケースが多いようです。
配当落ち
株主が配当金や株式分割、株主総会での議決権など権利が得られる最終約定日を「権利付最終日」と言い、その翌日のことを「権利落ち日」言います。その権利がないことを指すことから、このように呼ばれています。その中で、配当金については、権利付最終日の終値から配当金相当額が実質値下がりするので、特に「配当落ち」と称しています。ただ、実際には、配当落ちでも、株価が上昇することはよくあるケースです。
配当金
株式会社が稼いだ利益の一部を出資者である株主に還元する現金を指します。正式には「株主配当金」と言い、1株当たりの金額で示されます。もし、投資家がある銘柄の株を1,000株保有していて、1株当たりの配当金が5円の場合、その投資家がもらう配当金は5,000円になります。また、配当金の支払いは、中間配当と期末配当、期末配当のみの2パターンが殆どですが、最近は四半期配当を実施する会社もあります。株主還元が重視されている近年は、この配当金が改めて注目されています。
配当性向
最終利益に対する配当金の割合を言います。例えば、1株当たり利益(EPS)が50円の会社が、株主へ1株当たり配当金10円を支払う時、配当性向は20%となります(=10円÷50円)。株主への利益還元の度合いを見る上で、非常に重要な指標です。この指標は、株主にとっては、高ければ高いほど望ましいことですが、企業にとっては、内部留保を確保するという観点から、あまり高くはしたくはないと考えられます。一般的には、大企業の平均的な目安として30%強と思われます。
売買代金
売買された株価とその株数を掛け合わせたもの。市場全体の売買代金、または、ある銘柄の1日の取引代金を指します。株式市場全体の売買代金は、株式市場の活況度合いを見る上で非常に重要です。この売買代金が増加しながら、株価も上昇する時、当面の株式市場は強含みの展開が期待されます。現在、東証1部の活況度を見る1日当たりの売買代金は、約2兆円が1つの目安になっていると言われていますが、明確な根拠があるわけではありません。
ハイリスク・ハイリターン
高い利益が期待できるものは、期待外れになる確率もまた大きいことを意味します。これは諺(ことわざ)ではありませんが、株式投資に限らず、世の中一般事象で使われています。色々な解釈がありますが、「リスクを冒さずにリターンは得られない」ということでしょうか。ただし、株式投資の初心者の方は、こうしたハイリスク・ハイリターンの商品に手を出さないよう、十分注意して下さい。
端株
「単元未満株」と同じ意味と考えていいでしょう。取引所で取引できる最低単位の単元株に満たない端株のことを指します。1単元が100株の場合、1株から99株までの株数が単元未満株となります。端株は、基本的に1単元以上の株式と同様の権利が与えられますが、株主総会における議決権は与えられません。
始値
相場の寄り付きで成立した値段を言います。その日の取引がスタートして最初に付いた株価と考えていいでしょう。一定の流動性がある銘柄は、その日に何か特別大きな材料がない限り、ほとんどが午前9時に付く値段を指しています。
バブル
直訳すると「泡」となりますが、株式投資や金融経済においては、「バブル景気」「バブル経済」を意味しています。これは、特に大きな理由もなく過度に上昇し続けて過熱した相場が泡のように膨らみ、その後は泡がはじけるように急激に反転することを言います。特に注釈がない場合は、1986年末~1990年初に掛けて日本で発生したバブル経済を、単に「バブル」と称しています。
バリュー株
一般には「割安株」のことを指します。本来持っている価値(その会社の利益や資産等に対しての評価)に比べて、株価が低いと思われる銘柄のことを意味します。これには、様々な投資尺度から見て、株式市場の平均値や同業他社と比べて割安と判断される銘柄や、過去の株価水準から見て、現在の水準が割安と判断される銘柄などが挙げられます。ただ、“割安である”という判断の基準は、必ずしも明確には定められていないと考えられます。
ひ
日足
基本的には「日足チャート」を意味しています。1日という期間の中での4本値(始値・高値・安値・終値)を使って、1日1本のローソク足を並べた株価チャートが、日足チャートです。株価チャート(株価のグラフ)では、最も基本的で重要なチャートと考えていいでしょう。
引当金
重要な会計用語の1つで、将来のリスクに対する準備金です。その事業年度、または、それ以前に発生理由があり、将来に支払う可能性が高い費用や損失を前もって計上する項目となります。ただし、その費用や損失金額は合理的と認められなければなりません。この引当金には様々な種類がありますが、多くは負債性引当金として計上されるため、業績の下方修正を引き起こす要因の1つとなります。
筆頭株主
一般に、その株式会社の発行済み株式数のうち、多くの株式を持つ株主のことを「大株主」と言います。何%以上持っていれば大株主である、というような明確なボーダーラインはありませんが、その大株主の中で、最も多く株式を有している株主を「筆頭株主」と言います。筆頭株主は、株主総会で大きな影響力を持つと考えていいでしょう。
日々公表銘柄
証券取引所による信用取引規制の1つです。信用取引の売買が過熱している銘柄を「日々公表銘柄」として注意を呼び掛け、委託保証金率を引き上げることで取引過熱を抑制します。この公表は、その名の通りに毎日行われます。日々公表銘柄は信用残高の公開が毎日行われます。尚、現物の株式取引には全く関係ない言葉ですが、日々公表銘柄に指定されると、株価にも相応の影響が出てくると考えられています。
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ファンダメンタルズ
「経済等の基礎的要因」という意味です。具体的には、国や地域の経済状況(金利、為替、政治情勢等)、会社の経営状況(財務内容、企業業績、株価指標等)を指しています。これらを重要視して投資判断をすることを「ファンダメンタルズ分析」と呼びます。株式投資において、企業の業績や財務状況から投資価値を見出すことは、ファンダメンタルズ分析の典型例の1つです。
ファンドマネージャー
機関投資家の運用担当者のことを言います。代表的な専門職の1つです。自らの専門知識と投資資産家からの情報に基づき、資産の運用を行なうだけでなく、投資家の資金の状況に合わせて、絶えず投資計画の見直しを行ないます。職務実績が数値になって表れますが、株価の変動次第で大きく変化します。常に厳しいプレッシャーに晒されている、大変な仕事といえましょう。精神的に参ってしまう人も少なくありません。
風説の流布
株価の変動を操作する目的で、根拠のない噂やデタラメな情報を流すことを言います。金融商品取引法で禁止されており、刑事訴訟の対象となる重罪です。違反を犯した者は、懲役10年以下または1,000万円以下の罰金、あるいは、両方が科せられます。また、風説の流布で得た財産は全額没収されます。尚、いい加減な情報を流すことには、インターネットを通じた掲示板への書き込みも該当します。
福岡証券取引所
「福証」と呼ばれることが多い、日本にある4つの証券取引所(東京、名古屋、福岡、札幌)の1つです。現在は規模も小さくなり、地方の小証券取引所という位置付けになっています。昨今は、2000年に開設した新興市場(Q-Board)が主役となりつつあります。
含み益
「含み」とは、まだ株式などの資産を売却する前で、利益や損失が確定していない状態を意味します。買付価格と日々の時価を比較した時、その差額が利益となっている場合を「含み益」と言います。もし、そこで実際に売却したならば、それが「実現益」となります。
含み損
「含み」とは、まだ株式などの資産を売却する前で、利益や損失が確定していない状態を意味します。買付価格と日々の時価を比較した時、その差額が損失となっている場合を「含み損」と言います。もし、そこで実際に売却したならば、それが「実現損」となります。
ブックビルディング
「需要積み上げ方式」と称されます。新規公開株(IPO)の公募価格を決める方式の1つです。公開前に引受証券会社が価格帯を決め、投資家がその範囲で購入希望の価格と数量を申告します。それを受けて公募価格が決められますが、需要が多い場合には抽選で投資家に売り渡されることになります。尚、新規公開会社が人気銘柄の場合、ほとんどの投資家が価格帯の上限で申告するため、その上限価格が公募価格となることが多いようです。
浮動株
安定保有されている株式ではなく、常に証券取引所で活発に売買されている株式のことを言います。株式市場で絶えず流通する株式で、金融機関や企業同士の持ち合いや親子関係の株式など、株主が固定されてない株式ですから、投機的な目的を含めて、常に売買の対象となります。尚、発行済株式数のうち浮動株の占める割合を「浮動株比率」と呼んでいます。この比率が高い銘柄は、株価の動きが比較的安定していると考えていいでしょう。
ブラックマンデー
「暗黒の月曜日」とは、1987年10月19日(月曜日)に起きた、ニューヨーク株式市場での歴史的な大暴落を言います。週明けの取引だった当日、NYダウの下落率は約23%となり、1929年10月29日の「暗黒の木曜日」を上回る、過去最大の下落率となりました。この記録は今も破られていません。大暴落の要因は、今も特定されていませんが、投資家の不安心理がさらなる不安を呼んだ結果と見られています。そのNY株安は、世界を駆け巡って、東京市場も大暴落しました。
フリー・キャッシュフロー
財務諸表の1つであるキャッシュフロー計算書では、活動区分を3つに分けて、お金の出入りを集計しています。その3つの区分は、「営業キャッシュフロー」、「投資キャッシュフロー」、「財務キャッシュフロー」ですが、このうち、営業キャッシュフローと投資キャッシュフローの合計を『フリー・キャッシュフロー』と言います。理論的には、その年度に獲得した自由に使えるお金のことで、設備投資や配当金などの原資になります。
ブル
相場の先行きに対して強気を意味する言葉です。投資家心理が楽観的になっていて強気で、相場が右肩上がりの状況や様子を指します。牡牛(bull)が語源です。尚、逆の意味、つまり、相場の先行きに対して弱気や悲観的であることを「ベア」と呼んでいます。
分散投資
資産運用の価格変動リスクを低減するために、投資資金を複数の投資対象に分けて投資することを言います。具体的には、資産分散、銘柄分散、業種分散、地域分散などに加えて、投資する時期(タイミング)をずらす時間分散という考え方もあります。投資資金を1つの投資対象に集中せず、複数の投資対象に分散させることで、もし投資対象の一つが値下がりしても他の投資対象でカバーできる可能性が高くなります。投資全体の値動きを安定させる効果が期待できます。
粉飾決算
偽りの決算を言います。経営破綻を免れたり株価維持を目的として、会社が故意に行う売上高や利益額の水増し、子会社を利用して利益額を実際よりも多く見せる行為、またはその他による偽物の決算数字を作成すること等が該当します。当然、違法行為であり、金融商品取引法でも厳しく禁止されています。尚、粉飾決算による情報開示を行った者は、それを信じた投資家が損害を被った場合、損害賠償の責任を負います。
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米国会計基準
米国における会計処理および報告に関する規則・基準を言います。米国の上場企業は、これに準拠して財務諸表を作成・開示することが義務づけられています。また、米国で資金調達を行う会社も、この基準による財務諸表の作成が必要になります。日本基準とは異なる部分もあり、例えば、のれん代の償却処理、経常損益や特別損益の有無、等がそれに該当します。日本でも多くの代表的な企業が、米国会計基準を採用しています。尚、世界の多くの国々で国際財務報告基準(IFRS)が採用される方向にあるため、米国も2016年までに段階的にIFRSに移行する予定です。
米国株
米国のニューヨーク証券取引所やナスダック証券取引所に上場している株式を指します。日本でもネット証券の普及に伴い、従前より低コストで迅速に取引することが可能となっており、個人投資家の間でも人気が高まっています。
米国雇用統計
米国の雇用情勢を表す代表的な指標で、毎月第1金曜日に米国労働省から発表されます。雇用に関する統計の中で、最も注目度が高く、発表直後には為替や株価が大きく変動することが多々見られます。毎月恒例の一大イベントと言ってもいいでしょう。米国雇用統計では様々なデータが発表されますが、その中でも「非農業部門雇用者数」と「失業率」に大きな関心が寄せられています。日本では、翌週の第1営業日(基本的には月曜日)の相場に大きな影響を与えています。
ヘッジ
株式投資や金融経済では「リスクヘッジ」のことを指します。リスクヘッジとは、想定されるリスクを避けたり減らしたりすることです。具体的には反対売買等のヘッジ取引や、分散投資によるリスクの低減などが代表的です。「リスクマネジメント」とも呼ばれることもあります。リスクヘッジが必要となる取引は、かなり高度な金融取引と考えていいでしょう。
ヘッジファンド
本来は、相場環境に左右されずにリスクヘッジを行い、運用資産の絶対収益を得ることを目標にするファンドを言います。ただ、現状は、機関投資家や富裕層等から私的に集めた資金を、デリバティブや空売りを含めた様々な手法で運用するファンドを意味しており、好況・不況に関わらず、常に短期志向の投機的なスタイルで利益を追求するという特徴があります。そのため、相場の乱高下を加速させる要因になっているとして問題視されることも多いようです。絶対的な収益を目標とすることから、一般にハイリスク・ハイリターンな運用姿勢であると見られています。
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法令遵守
「コンプライアンス」とも言います。本来は、法律、法令、規則などのルールを守ることを意味していましたが、近年は「倫理観に基づいた行動」という意味で使われています。その背景として、企業による様々な不祥事が多発したことが挙げられるでしょう。このコンプライアンスは、今やどの企業でも重要視していると言えます。
簿価
「帳簿価額」の略称です。その名の通り、帳簿に記載されている資産、負債、資本などの価額を指します。資産については原則として、購入価額に一切の付随費用(引取運賃、関税、登録税などの租税公課、整備費等)を含めた金額をもって記録されています。
ボックス相場
株価の上下が決まってしまい、高値付近に来ると値下がりし、安値近辺まで下がると値上りするという動きを繰り返す様子のことを言います。株価チャートを描くと、すっぽりと箱の形に収まってしまう動きから、ボックス相場と称されるようになりました。「レンジ相場」と言われることもあります。ボックス相場の時は、株価を大きく動かす材料に乏しい時が多いと言われています。
ほふり
株券、債券、投資信託の受益証券等を集めて、一括して管理する制度を「証券保管振替制度」と言いますが、一般には「ほふり」と称されています。それら証券を集めて一括管理するのが、「証券保管振替機構」です。株券などは、その都度の名義書換手続きが不要になります。この制度の発足以降、今現在では、投資家自身が株券を保有することはなくなりました。
本人確認
金融機関などで、個人顧客は氏名・住所・生年月日を確認することを言います。本人確認の方法は、運転免許証やパスポートなどの公的証明書を提示するのが一般的です。現在は、多額(概ね200万円)の現金引き出し時にも必要となります。金融機関から本人確認を求められた場合、それを拒否することはできません。拒否した場合は、預金引き出しや新規口座開設ができなくなります。