信用取引には「制度信用取引」と「一般信用取引」の2種類がある

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「制度信用取引」と「一般信用取引」の2種類がある

信用取引には、「一般信用取引」と「制度信用取引」の2つの種類があります。

この2つの名前を聞くと、「一般信用取引」の方がスタンダード(標準)と思われやすいかもしれません。ところが、実際には、古くからある「制度信用取引」の方が広く浸透しており、ただ単に“信用取引”と言うと、制度信用取引を指すことも珍しくありません。これまでの連載で説明してきた内容も全て制度信用取引についてです。

現在、取引残高(売り残+買い残)を見ると、制度信用取引は一般信用取引の約4倍の規模になっています(枚数ベース、金額ベースとも)。この差はかなり大きいと言えましょう。ただし、最近は一般信用取引の規模も徐々に拡大してきました。今回は、この一般信用取引と制度信用取引の違いを説明します。

尚、念の為ですが、皆さんが今まで行ってきた現物取引には、このような区別はなく、「現物取引」の1つだけになっています。

最大の違いは決済までの期限

制度信用取引は、証券取引所がルールを定める信用取引です。一方、一般信用取引は、証券会社が(個人投資家と)個別にルールを定める信用取引です。これを聞いてもピンと来ない人も多いでしょう。

要は、証券取引所が定めたルールで取引するか、証券会社が(独自に)定めたルールでやるか、の違いです。そこで、一般信用取引と制度信用取引の違いを簡単な一覧表にしました。

いろいろ違いはありますが、最大の違いは、その返済期限(決済までの期間)でしょう。制度信用取引は、買いでも売りでも6ヶ月以内に決済しなければなりませんが、一般信用取引は無期限(証券会社と取り決め)になります。また、信用取引を行う銘柄も、制度信用取引は証券取引所が定めた銘柄しか対象になりませんが、一般信用取引は全上場銘柄が対象になります。

制度信用取引 一般信用取引
対象銘柄 制度信用銘柄のみ 原則、全上場銘柄
返済期限 6ヶ月 無期限(証券会社と取り決め)
信用金利 証券会社によって異なる 証券会社によって異なる(注1)
新規売り できる(貸借銘柄のみ) できない
IPO銘柄 取引所の選定後でないとできない 上場初日から取引可能

(注1)制度信用取引の金利より高め

IPO銘柄では一般信用取引の方が活用しやすい

また、昨今は人気が高まっているIPO銘柄(新規上場銘柄)では、制度信用取引では取引所がそのIPO銘柄を選定した後でないと信用取引の対象にできません。現実問題として、IPO初日には選定されないので、利用できないことになります。

ところが、一般信用取引では、証券会社がそのIPO銘柄を選定していれば、上場初日からガンガン信用買いができます(注:後述しますが信用売りはできません)。証券取引所が定めたルールは、どことなく保守的なものが多いため、制度信用取引では自由度が小さくなることは否めません。

一般信用取引にも幾つかのデメリット

“なぁんだ、一般信用取引の方が全然いいじゃないか!”と思った貴方、そう簡単ではないのです!実は、一般信用取引にも幾つかのデメリットがあります。

まず、返済期限が無期限(=長い)であるため、証券会社から借りた資金に対する金利が、制度信用取引よりも高くなる傾向にあります。コスト高になるということですね。

また、一般信用取引は、新規の売り(証券会社から株式を借りて「売り」から参入する)が禁じられています。新規どころか、証券会社によっては、“信用売り“が出来ない場合も少なくないため、リスクヘッジに活用できない場合があります(追々説明していきます)。一般信用取引の市場規模が、依然として制度信用取引の約4分の1に止まっているのには、それなりの理由があるのです。

皆さんが信用取引を始める場合は、信用取引の内容や仕組みを理解するのはもちろんですが、一般信用取引と制度信用取引のどちらを選択するかも、重要なカギになるでしょう。

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