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「信用取引」ではレバレッジ効果を使って約3倍の取引が可能
証券会社から資金(お金)や株式を借りて売買する取引が「信用取引」で、皆さんが今まで行ってきた「現物取引」とは大きく違います。最大の違いは、証券会社から資金や株式を借りることで、自己資金の約3倍までの取引が可能になる“レバレッジ効果”でしょう。ただし、信用取引を行う際には、約定代金の30%分を委託保証金として担保に差し出すことが求められます。例えば、とある銘柄を信用取引で500万円かつける場合、その30%に該当する150万円の保証金を(証券会社に)差し入れなければなりません。逆に言うと、自己資金150万円で500万円の買付が行えることになるのです。今回は、現物取引との違いをもう少し見ていきましょう。
制度信用取引は6ヶ月以内に返済する必要がある
信用取引には制度信用取引と一般信用取引の二種類があるのですが、ここでは制度信用取引について説明していきます(詳細は後日!)。制度信用取引と現物取引の大きな違いの1つに、その(決済までの)期限が挙げられます。皆さんが行ってきた現物取引の場合、期限はありません。無期限です。例えば、銘柄Aを買い付けて保有した後、その株式を何時売ろうが、何時まで保有しようが、皆さん(投資家)の自由です。極端な話、その株式を永遠に保有することも可能です。ところが、制度信用取引の場合は、原則として、6ヶ月以内に返済しないといけません。“えっ、一体何を何処へ返済するの?”と思う方もいるでしょう。これは、借りた資金や株式を、その証券会社に6ヶ月以内に返済することを指します。つまり、制度信用取引は6ヶ月以内に決済する必要があるのです。この決済方法については、また追々説明していきます。
現物取引 | 信用取引 | |
---|---|---|
買付代金(注1) | 全額が必要 | 不要(証券会社から借りる) |
保証金 | 不要 | 必要(約定代金の30%) |
期限(注2) | なし(無期限) | 6か月 |
配当金(注2) | 受け取りのみ | 支払う場合も |
株主優待 | あり | なし |
(注1)「売り」から入る場合の売却株式も同様
(注2)制度信用取引の場合
制度信用取引は6ヶ月以内の“期間限定”の勝負
“何だ、6ヶ月以内に決済しなければならないなら、長期投資は出来ないじゃないか!“と考える方もいらっしゃるでしょう。大まかに言えば、その通りです。制度信用取引は長期投資には向いていないと言えます。例えば、冒頭の例でいうと、150万円の自己資金で銘柄Aを500万円分買い付けた場合、6ヶ月以内に証券会社に500万円を返済しなければなりません(注:差し出した保証金150万円は戻ってきます)。この500万円を返済するためには、実際問題として、買い付けた銘柄Aを売却して現金化する必要が出てきます。どうしても銘柄Aをそのまま保有したいなら、他に資金を工面して返済すればいいのです。ただ、そんな資金捻出力があるならば、取引コストの高い制度信用取引を最初からやる必要がありません。したがって、制度信用取引は事実上、6ヶ月以内という”期間限定“での勝負となるのです。
投資損益が3倍になることに注意が必要
皆さんの中には、“自分は現物取引でもずっと6ヶ月くらいの期間で勝負してきたから、全く問題ない”と安心している方もいるのではないでしょうか?確かに、ずっと自ら6ヶ月という期間を設けて投資してきた人にとっては、大きな違和感はないでしょう。ただ、信用取引では、「損益も約3倍になる」ことに注意が必要です。利益が出たときはハッピーですが、損失を出すと悲惨なことになる場合も珍しくありません。信用取引のリスクが大きいというのは、この損失を出した場合を指しているのです。これも追々説明していきます。
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