IPO株のロックアップ期間は必ずチェック~西武ホールディングス編

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西武ホールディングス(9024)の株価が下げている

西武ホールディングスの株式は2014年4月に1,600円で売出が行われ、IPO以来順調に上昇してきました。しかし株価がここにきて急落しています。2015年4月27日には3,695円の高値を付けましたが、わずか一か月ほどで3,000円を割り込み2015年5月27日には2,847円になりました。高値から20%を超える下落になります。ここまで順調だった株価に何が起きたのでしょうか?

業績は好調なのだが

2015年5月12日に2015年3月期の決算が発表されています。売上高は同社の事前予想には届きませんでしたが、営業利益、経常利益、当期利益ともに計画を上回って終わりました。また、同時に2016年3月期の会社予想も発表されました。これを見ると、当期純利益は減少見通しですが、本業の実力を示す売上高、営業利益、経常利益は堅調に推移する増収・増益の計画となっています。株初心者にも好印象を与えたと思われるこの業績が、株価下落の犯人とは言えません。

主要ファンドが売りに出始めた

5月22日、同社株の約35%の株式を保有すると見られるサーベラスというファンドが、同社の株約10%を売却したと報じられました。これが大きなきっかけです。おそらく市場は、この動きを予知していたのでしょう。振り返ってみると、5月に入ってから株価はジリジリと下げ始めていました。

ロックアップ期間を再確認

IPO前の大株主が株式公開後にどれほどの期間株を売らないのか、言い換えると公開後いつになったら大株主が自由に株を売却できるようになるか、を「ロックアップ期間」といいます(ロックアップの解説は「IPO投資に入門する株初心者が知っておきたいオファリングレシオとロックアップ」を参考にしてください)。西武ホールディングスの資料を見ますと、2014年10月19日を過ぎると自由に売却ができることになっています。ファンドはこの日から株価を睨んでいつ売却を始めようか見極めてきたわけです。

ロックアップ期間明けは要注意

今回のように大株主がロックアップ期間終了後保有株を売り始めることはよくあるケースです。会社の内容をよく知る大株主が保有を減らすと言われれば、株式の需給が緩むという以上に「業績が今後期待できないのでは?」「株価が業績に対して高いから売るのでは?」と株初心者を含めた一般投資家を疑心暗鬼にさせてしまいます。さらに、今回のように売却が一回で済まない場合、「残りの株はいつどの価格で売られるのだろうか?」と不安が残ります。

ちなみにこのファンドは株式公開時に保有株を売りませんでした。この結果、当初流通する株数が限定され、オファリングレシオは好ましい水準であったと考えられました。しかし、ロックアップ期間後は大口の売却に出てきています。

IPO後に株を保有して続けた場合でも、ロックアップ期間が明ける前に一度利益確定をしたほうが良さそうです。IPOに参加するときは、ぜひ、証券会社のHPで目論見書に目を通し、主要株主の保有株数と売出株数、ロックアップ期間のチェックをしてみてください。今回のようなファンド系の大株主がIPO後も株を持ち続けるときは要注意です。

2015年5月28日 01:20 公開

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