ネット証券ランキングもいいが次世代証券サービスはもっと面白い

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ネット証券は、手数料の安さと、豊富な売買ツール・情報提供を武器に、自分で考え・選び・判断をしたいDIY(Do It Yourself)型の個人投資家のニーズを満たしてきました。その結果「株を買うならネット証券」が常識といえるほど、ネット証券は普及しました。特に、ネット証券No.1のSBI証券の存在感は証券業界全体で見ても大きなものとなりました。

>>SBI証券の公式サイト
>>SBI証券の詳細解説を見る

一方で「資産を増やしたいけれど、中々投資に時間を避けない」「何に投資をして良いか分からない」という、多くの潜在投資家が抱える悩みの解決という点では、まだまだ道半ばです。

ここでは、既存のネット証券の長所をまとめた上で、非DIY型の潜在投資家の助けになる可能性があるサービスを紹介していきます。

【ざっくりいうと】

  • ネット証券は、手数料の安さと、豊富な売買ツール・情報提供を武器に、自分で考え・選び・判断をしたいDIY(Do It Yourself)型の個人投資家に大きく普及。特に、SBI証券の存在感は、証券業界全体においても大きくなりました。
  • 一方で「資産を増やしたいけれど、中々投資に時間を避けない」「何に投資をして良いか分からない」という、多くの潜在投資家が抱える悩みの解決という点では、まだまだ道半ばといえます。
  • 最近では、個人投資家の利便性を高めるという観点で期待される新しい金融サービスも生まれてきています。ロボ・アドバイザーや次世代の証券サービスは煩雑な操作や難しい用語に悩まされることなく、高度な金融サービスを利用できる点で注目です。

目次

1 「選びたい個人投資家」のニーズを満たしてきたネット証券

1999年10月の株式売買手数料自由化、インターネットの普及を背景に、ネット証券は急速に普及。2016年時点では、個人投資家の株式売買代金の95%程度がネット経由での取引となりました。

ネット証券のおかげで、多くの個人投資家が低コストで、いつでもどこでも株を売買できるようになりました。自分で考え・選び・判断をしたいDIY(Do It Yourself)型の個人投資家にとっては、願ってもいない環境が整ったといっても過言ではありません。

1.1 手数料は大手証券の数十分の一レベル

ネット証券の最大の特徴は何と言っても手数料の安さでしょう。手数料自由化前は50万円の売買に対して概ね1%、5,000円程度の手数料がかかっていたのに対し、2018年1月現在のネット証券の手数料は180円~450円となっています。大手証券の売買手数料も手数料自由化前に比べて大幅に下がっていますが、ネット証券比では数十倍という水準にとどまっています。

主な大手証券・ネット証券で日本株を50万円購入した時の手数料比較(単位:円、税抜)

証券会社名(プラン名) コンサル 対面/電話/ネット 手数料(税抜)
野村証券(本・支店:お店)
対面
6,500
大和証券(コンサルティングコース:お店)
対面
5,750
SMBC日興証券(総合コース:お店)
対面
5,750
SMBC日興証券(総合コース:電話)
電話
4,888
SMBC日興証券(ダイレクトコース:電話)
電話
4,888
大和証券(コンサルティングコース:ネット)
ネット
4,309
野村証券(ネット&コール:電話)
×
電話
4,095
大和証券(ダイレクトコース:電話)
×
電話
4,025
SMBC日興証券(総合コース:ネット)
ネット
4,025
大和証券(ダイレクトコース:ネット)
×
ネット
1,725
野村証券(ネット&コール:ネット)
×
ネット
477
マネックス証券(ネット)
×
ネット
450
SMBC日興証券(ダイレクトコース:ネット)
×
ネット
400
岡三オンライン証券(ネット)
×
ネット
350
楽天証券(ネット)
×
ネット
250
SBI証券(ネット)
×
ネット
250
auカブコム証券(ネット)
×
ネット
250
GMOクリック証券(ネット)
×
ネット
241
SBIネオトレード証券(ネット)
×
ネット
180

注:取引毎の手数料を記載、各種割引・特典は考慮せず
注:2018年1月5日時点

参考:株式売買手数料徹底比較! 証券会社によって数十倍違う

1.2 投資信託の品揃えはメガバンクや大手証券会社をも上回る

SBI証券と楽天証券の投資信託の取扱本数(販売している投資信託の数)は2021年7月時点で、各2,000本を超えています。

実は、投資信託は5,000本以上存在するのですが、販売できる金融機関が限定されているものも多く、現実的に一つの金融機関が取扱うことが出来る本数は2,000本程度であるといわれています。つまり、SBI証券と楽天証券はほぼ限界まで品揃えを極めたといえるのです。

ちなみに、大手証券会社の雄、野村証券の取扱本数は990本となっています(いずれも2021年7月2日、各社ウェブサイトで確認)。

1.3 投資情報も充実

ネット証券も登場した当初は、「手数料は安いが、情報はほとんど無い」サービスでした。ところが、今や「手数料が安く、投資情報も豊富」になっています。

以下の図表はネット証券各社のニュース系の投資情報を比較したものです。ほとんどのネット証券で、資産運用のプロフェッショナルもチェックするトムソン・ロイターのニュースか日経Quickのニュースを見ることができます。

楽天証券に至っては、日経テレコン21を使うことができます。これは、楽天証券で口座開設しておけば事実上日経新聞の記事を無料で閲覧することができることを意味しています。株1編集部のメンバーも頻繁に活用している機能です。

>> 楽天証券の公式サイト
>>日経新聞が無料で読み放題? ネット証券のお得な活用法

「見ておきたい投資情報」提供状況比較:ニュース系

トムソン・ロイター 日経Quickニュース 日経テレコン21
楽天証券 無料 無料(ツール内配信)
マネックス証券 有料(ツール内配信)
SBI証券 無料
auカブコム証券 無料
GMOクリック証券 無料
SMBC日興証券 無料
岡三オンライン証券 無料
松井証券 無料 無料
ライブスター証券 無料

注:2015/03/03時点

1.4 SBI証券は個人投資家市場の王者?

SBI証券は、ネット証券でダントツNo.1と言われる存在です。特に、個人投資家の株式売買シェアは圧巻の42%。野村証券、大和証券、SMBC日興証券のように多数の店舗を構える大手証券が強いイメージですが、実はこれら3社の個人投資家の株式売買シェアは各数%程度と、完全にネット証券主体の市場になっているのです(注:機関投資家の株式売買については、大手証券や外資系証券の独壇場です)。

SBI証券は当初は株式売買手数料の低さを武器にシェアを拡大しましたが、今や投資信託の取扱本数やIPO取扱実績もNo.1になるなど、総合力を持ったネット証券へと進化しました。

口座数(2021年5月末)
600万口座超でネット証券No.1(2位は楽天証券で600万口座超)

個人投資家の株式売買シェア(2016年4月~2017年3月)
35%でネット証券業界No.1(2位は楽天証券で15%)

投資信託取扱本数(2020年10月7日時点)
2,680本で証券業界No.1(2位は楽天証券で2,679本)

IPO取扱件数(2017年)
85件で証券業界No.1(2位はSMBC日興証券の74社)

>>SBI証券の公式サイト
>>SBI証券の詳細解説を見る

【コラム】「選びたい個人投資家」向けサービスに嵐を巻き起こすRobinhood(ロビンフッド)

Robinhood は、今アメリカで最も勢いのあるトレーディングアプリです。
このアプリ、なんと手数料ゼロで株の売買ができるサービスを提供しており、若い世代を中心に大人気になっています。

米国にもネット証券はありますが、株取引の手数料としては、7ドルから10ドル程度を払うのは当たり前でした。それが無料になったわけですから、凄まじい衝撃です。

さらに、預金無しでも口座を開設できるようにしたことで、預金の少ない人やトレーディング経験のない人も簡単に始められるようになりました。

Robinhood社によれば、ユーザーのうち、25%が初めてトレーディングを行った人だそうです。また、Robinhoodのユーザーの平均年齢は26歳と若く、いわゆるミレニアル世代に受け入れられています。

2016年6月時点では、Robinhoodで日本株を売買することはできません。しかし、Robonhoodは、ロボや他人に任せきるのではなく、自分で考え・選び・判断したいDIY型の個人投資家向けのサービスの究極系といえるのかもしれません。

2 「選びたくない個人投資家」の心をくすぐるサービスはまだまだこれから

2.1 選びたくない個人投資家

表題の「選びたくない個人投資家」のお話をする前に、少しだけ、日本の個人投資家はどんな資産を持っているのかを見ていきたいと思います。

下図は日本銀行の資金循環統計から家計の金融資産残高推移をまとめたものです。ネット証券の普及で、個人の金融資産が株や投資信託に劇的にシフトしたかと言えば、そうでもないことがわかります。

株式・出資金と投資信託の残高は緩やかに増えているようにも見えますが、家計の金融資産全体に占める比率は9%から17%の間で推移しており、投資家が激増したというよりは、株価の上下動の影響を大きく受けていると考える方が妥当だと思われます。

参考:日本銀行資金循環統計

個人投資家にとって、低コストでいつでもどこでも株取引をできる環境が整ったことで、「自分で考え・選び・判断をしたい」、DIY(Do IT Yourself)型の投資家のニーズは概ね満たされたのかもしれません。

一方で、政府や金融機関が「貯蓄から投資へ」と声高に叫んでも、家計金融資産の半分以上が現金・預金で寝ている状態が10年以上続いている状況は何を意味しているのでしょうか?

家計の金融資産の多くが高齢者に保有されていること、非DIY型の個人投資家が使いこなせる金融サービスが無いことなど、いくつかの要因が考えられます。非DIY型の個人投資家とは、「資産を増やしたい」と考えているごく普通の個人のことを指しています。

資産を増やしたい。これは誰もが心の中に抱えている願望です。しかし「なかなか投資に時間を避けない」「何に投資をして良いか分からない」というハードルの前に、最初の一歩を踏み出せない方が多いのが実態です。もっと言えば、「資産は増やしたいけど、別に選びたくはない」ということではないでしょうか?

2.2 なぜネット証券で投資信託がバカ売れしないのか?

先程お話した通り、ネット証券の上位2社(SBI証券、楽天証券)の投資信託の品揃えは野村証券をはるかに上回っています。ところが、両社が顧客から預かっている投資信託の残高にはおよそ14倍もの差があります(ちなみに、口座数は野村証券の方が多いものの、2倍にも満たない差です)。

投資信託顧客預かり資産残高(2016年3月末)
・野村証券:17.3兆円
・SBI証券:1.2兆円

ネット証券は2,000本以上の品揃えと、投資信託を選ぶためのスクリーニングツールを提供していますし、ノーロード投資信託と呼ばれる、販売手数料が無料の投資信託を多数取り揃えています。一方の野村証券の取扱本数は1,000本弱、多くの投資信託の販売時には3%程度の販売手数料を徴収しています。ネット証券で投資信託を買わない理由がないように見えますが、なぜ現実はそうなっていないのでしょうか?

投資信託は本来、「プロの運用者に資産運用をお任せする」金融商品です。しかし、5,000本を超える投資信託が量産された結果、ちょっと見ただけでは、何が違うのかが分からなくなってしまいました。

そこでものを言うのが営業担当者の説明と「ひと押し」です。多くの中から選んでもらうのではなく、営業担当者から「これがいいですよ。なぜならば・・・」と説明を受けることで、投資信託の購入を決めている個人投資家が大半というのが現実です。

ネット証券は、どの投資信託が優れているのかを判断するスクリーニングツールを提供していますが、これを使いこなして吟味出来ている投資家は一部でしょう。低コストのインデックス投資信託、ブルベア型投資信託がよく売れる傾向にあるのを見ると、「プロに資産運用をお任せする」というよりは、DYI型の投資家が相場の上げ下げにあわせてトレーディングに活用していることも推察されます。また、毎月分配型投資信託(REIT投資信託も含む)の人気が高いことから、売れ筋ランキングを見て何を買うか決める投資家が多いとも推察されます。

参考:失敗しない投資信託の選び方:おさえるべき3つのNGと6つのポイント

DIY型の個人投資家には極めて使い勝手のよいネット証券ですが、非DIY型の個人投資家へのサービスという点ではまだまだ道半ばといえ、今後はこの領域の発展が期待されます。

3 「選ばせない」金融サービスの新潮流

「信頼できるプロにおすすめしてもらいたい」と考える非DIY型の個人投資家の心をつかんできたのは、人(営業マン)でした。「AさんにはXファンドがいいと思いますよ。なぜならば・・・」と、各人の状況を踏まえた提案や説明をしてくれるためです。

ただし、人が介在するため、高コストです。また、営業担当者によっては、自分が売りたいもの(手数料が高いものや、販売ノルマのあるもの)を優先的に提案している可能性もゼロではありません。

こうした問題の解決を目指して出てきたのが、ロボ・アドバイザーやスマホ証券・ロボ証券・次世代証券と後々呼ばれそうなサービスです。

3.1 FOLIO(フォリオ)

2015年に設立されたFintechベンチャー・FOLIO(フォリオ)が、日本株式を取り扱う独立系証券会社として10年振りに業界に新規参入しました。フォリオはロボアドバイザーサービスを超えた次世代ネット証券として「テーマ投資」を押し出しています。フォリオのサービスの特徴は、フォリオが準備した様々な投資テーマを10万円から購入できるという点です。

株式市場で注目されているテーマはもちろんのこと、テーマ型投資信託でも品揃えがないテーマに投資できるうえ、フォリオの投資テーマには、フォリオが選んだ10銘柄が含まれており、同一テーマ内で銘柄分散がされています。また、10万円から購入できる点も、テーマ投資の初心者のみならず、投資そのものが初めての人にとってもありがたいサービスだといえます。

2017年11月15日からはフォリオβ版の一般公開がスタートしました。フォリオのサービスのイメージをさらに詳しく知りたいという方は以下の動画をご覧ください。

>>フォリオβ版のアカウント登録(無料)はこちらから

3.2 One Tap BUY

One Tap BUYはさすがに1タップとはいきませんが、3タップで株の売買をできる手軽さ、ユーザビリティーの高さがウリです。通常のネット証券で株の売買では15タップ以上が必要ななか、最初からスマホネイティブな作りとなっています。2017年11月にはサービス開始から1年6カ月で口座開設数が7万件を突破したと発表しています。

One Tap BUYは当初、Facebook、Apple、スターバックスなど、個人投資家に親しみのある米国株への投資を最大の特徴としてスタートしましたが、2017年7月からは日本株個別銘柄にも投資できるようになりました。

また、One Tap BUYのアプリではウォーレン・バフェットや米の人気企業について簡単に学べるマンガを無料で読むことができます。

出所:One Tap BUYアプリより

たかがアプリ、たかがUIと思う方もいるかもしれませんが、UIの改善で投資家の体験が劇的に変化するのもまた事実だと思います。

3.3 THEO(テオ)

株式会社お金のデザイン社のサービスです。9つの質問に答えると、世界86国・地域, 62通貨圏, 11,000銘柄以上(2016年2月時点)から各個人に最適なプランが提案されます。最低投資予算は10万円、投資一任報酬は預かり資産の1.0%(その他の手数料や費用は一切なし)となっています。

3.4 WealthNavi(ウェルスナビ)

ウェルスナビ株式会社のサービスです。WealthNaviならではのロボアドバイザーが「世界の富裕層が利用する金融アルゴリズム」で、「完全に中立な立場」から、「国際分散投資」をすべて「自動」で行う、という点をうたっています。手数料は預かり資産の年率1%、3,000万円を超える部分は年率0.5%となっています。

3.5 みずほ銀行 SMART FOLIO(スマートフォリオ)

7つの質問に答えると、個々人のプロファイルに合ったモデル・ポートフォリオが紹介され、具体的な投資信託の紹介へと続きます(BlackRockが運用するi-Mizuhoというインデックス投資信託シリーズ)。提示された投資信託を一つ一つ購入することはできますが、THEOのようにポートフォリオ丸ごと購入することはできません。

3.6 三菱UFJ国際投信投資顧問 PORTSTAR(ポートスター)

5つの質問に答えると、個々人のプロファイルに合った投資信託(三菱UFJ国際投信投資顧問が運用するeMaxisというインデックス投資信託シリーズ)が紹介されるものです。POETSTARの機能は、個人に合った投資信託の紹介であり、購入することや、自動運用する機能はありません。

4 まとめ

ネット証券は、株式売買手数料の劇的な低下といつでも・どこでも売買できる利便性を武器に、DIY型の投資家のニーズを満たしてきました。Robinfoodのようなサービスの登場で、一段の低価格競争が巻き起こる可能性もありますが、非DIY型の投資家の「おまかせしたい」「簡単に投資したい」という大きなニーズにいかに応えていくかが、より重要な課題となっています。

現時点では、ロボ・アドバイザーもスマホ証券・ロボ証券・次世代証券のサービスも始まったばかりですので、明確に優劣を付けるのは難しい状況です。まずは「お試し」という位置付けで、少額を投じてみて、使い勝手やパフォーマンスを観察してみてはいかがでしょうか。

詳細に興味がある方は「ロボ・アドバイザーの資産運用初心者向け特徴と比較まとめ」もあわせてご覧ください。

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