まずはPERを知ろう

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目次

英語の表記が定着している「PER」と「PBR」

株価バリュエーションは、株の「割安」「割高」を判断するのに、必要不可欠な“物差し(定規)”です。数多くある株価バリュエーションの中で基本となるのが、PER(ピーイーアール:株価収益率)、PBR(ピービーアール:株価純資産倍率)の2つとなります。この2つの指標は、既に浸透度が高く、日本語の説明がない「PER」「PBR」という英語表記が定着しています。英語での表記なんて難しい…と思うかもしれませんが、是非、慣れていきましょう。

基本的には、数字が小さい方が「割安」である

PERとPBRの説明をこれからしていきますが、共通しているのは、「数値が小さければ小さいほど割安、数値が大きければ大きいほど割高」ということです。特に、こうした株価バリュエーションは苦手だなと感じる方は、とりあえずは、「数字が小さければ割安だ」と覚えて頂いても差し支えありません。数字が小さければ投資する(=買う)タイミングかもしれない…と、漠然と考えて下さって結構です。

「PER」とは、会社の利益と株価の関係を表す

まずはPERからです。PER(株価収益率)とは、“会社の利益と株価の関係”を表すことで、割安なのか割高なのかを測ることができます。一般的に、『PERが低ければ低いほど、会社が稼ぐ利益に対して株価が“割安”である』といえます。具体的な計算式は次のようになります。

PER(株価収益率)=株価÷1株当たりの純利益(EPS)

1株当たりの純利益をEPS(イーピーエス)と言います(今は、そういう表記なのだな…くらいで結構です)。この算出式は是非とも頭の片隅に置いておきましょう。

PERは非常に優れた株価バリュエーション

PERは、「株価が1株当たり利益の何倍まで買われているか」を示すことになります。このPERという指標は、『その会社における、過去のPERや将来の予想PERと比較すること』もできますし、『違う銘柄同士のPERを比較すること』もできます。時期の違い、銘柄の違いのいずれにも対応できる、非常に便利な指標です。幾つもある株価バリュエーションの中で、最も重要で、最も手頃で、最も使われている指標と言えます。

PERの変化の仕方を覚えよう

PERの変化としては、「株価」が下がれば、PERも下がります。逆に、「株価」が上がれば、PERも上がります。一方、「1株当たり利益」の観点から見ると、「1株当たり利益」が増えれば、PERを下げることになりますが、逆に、「1株当たり利益」が減れば、PERは上がってきます。

便利なPERにも欠点がある

このPERは、時期の違い、及び、銘柄(=種類)の違いの両方に対応できるメリットがありますが、唯一の欠点は、ベンチマークになるような数字がないことです。例えば、PER12倍の会社Aと、PER15倍の会社Bでは、会社Aの方が「割安」ということになりますが、世間一般の“平均値“のような数字がわからないため、株式市場全体から見て、A社は本当に割安なのか?という疑問が残ります。

PERは赤字の会社には適用できない

PERを使用する時に、注意しなければいけない点が2つあります。1つは、数式の分母である「1株当たり利益」がマイナスになる場合、つまり、その会社の利益が赤字の場合です。実は、会社の利益が赤字になることは、決して珍しくないことです。赤字の場合、PERはマイナスの数字(例えば、-13倍のように)になるのですが、マイナスのPERには意味がありません。それは、PERの定義でもある「株価が1株当たり利益の何倍まで買われているか」に該当しなくなるからです。こういう場合、PERは「—-」とか「NA」のような表示になることが多いようです。いずれにせよ、PERは利益が出ている会社(黒字の会社)にしか適用できません。

成長著しい会社のPERは時として異常に高くなる場合も

もう1つは、このPERは、その会社の規模や成長スピードによって、大きく異なる場合が多いことです。例えば、今正に成長著しい伸び盛りの会社Aがあったとします。A社の売上高は毎年2倍、3倍となり、利益も大幅増益が続いています。このような場合、A社のPERは物凄く高い数字になるケースが多々あります。一方で、B社は、いわゆる成熟安定企業(大企業が多い)であり、売上高や利益の伸び率は小幅に止まっています。このような時、B社のPERはさほど高くなりません。この2社の場合、A社のPERが70倍で、B社のPERは15倍というような、大きな差が生じるケースがあります。では、B社の方が「割安」なのか?というと、そうは一概には言い切れません。

例えが難しいのですが、アジの刺身を考えて下さい。まだピチピチ生きているアジを、その場で刺身にした「活き造り」と、同じアジを〆て翌日に刺身にするのでは、なぜか「活き造り」の方の値段が全然高くなります。でも、刺身の「味」としては、〆た後のほうは脂が乗って意外に美味しいものです。

PERをマスターするためには、使い慣れることが一番

PERは重要で便利な指標ですが、その使い方や、数字が意味するところは、そう簡単にマスターできるものではありません。ここも、時間を掛けて、使い慣れしていくしかないでしょう。まずは、投資しようと思った会社、或いは、既に投資している会社の株価を見て、「今のPERは~~倍なのだな」という感覚を身に付けて欲しいと思います。

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