何年後にいくらの資産が必要?

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目次

投資においては具体的な目標を決めよう

「お金」はあればあるだけいい。誰もがそう思うのですが、投資においては具体的な目標、つまり、最終ゴール地点を決めることが大事です。この目標値を予めしっかり決めておかないと、「もっともっと増やせる」「まだまだ減ってしまうのではないか」という精神的な葛藤により、最終的には残念な結果になる場合が多々あります。それは、以下ように例えることができます。

目標を決めたら欲を出し過ぎず、悲観し過ぎず、粛々と目標達成を目指そう

あなたは、健康増進のために、毎朝ジョギングをすることに決めました。目標は1か月間で100km走破です。100km走破達成のためには、基本的には1日に3km以上走る必要があります。毎日毎日コツコツと3km少しを順調に走ってきましたが、ある日、もの凄く体調が良くて全く疲れなかったので、頑張って10km走りました。翌日も調子が良くて再び10km走ったのですが、その夜から足腰が痛み始め、翌日には満足に立つことも難しくなります。お医者さんに診察してもらったら、当分の間安静にすることを余儀なくされ、結果的には1か月間で走った距離は100kmには遠く及ばなかったことになってしまいました。あなたは、健康増進どころか、新たな疾患を抱えることになったのです

株式投資でも、これに似たケースは決して珍しくありません。あなたは、先ずは目標を決め(月に100km走破)、そのための計画(3km少し)を立てたことは良いことです。あるとき、計画以上に順調な結果が出ました(10km走った)が、そこで自信過剰になることが問題となります(翌日も10km走った)。結果的には、全てが計画倒れとなり、目標にも達しないこととなるパターンです。

株式投資でも目標を数値で把握することが大事

株式投資でも、投資額を年率何%増やせば、何年で目標額に到達するかを知っておくことは非常に重要です。それだけでも、冷静に損切りをしたり、過剰に欲を出して利益確定のタイミングを逸することを回避する助けになるからです。

実例で見てみましょう。以下の表は、元金100万円を複利で運用した場合、何年でいくらの資産を築けるかを示したものです。

100万円を複利運用したら何年でいくらになる?

経過年数 1% 2% 3% 4% 5% 6% 7% 8% 9% 10%
0 100 100 100 100 100 100 100 100 100 100
1 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110
2 102 104 106 108 110 112 114 117 119 121
3 103 106 109 112 116 119 123 126 130 133
4 104 108 113 117 122 126 131 136 141 146
5 105 110 116 122 128 134 140 147 154 161
6 106 113 119 127 134 142 150 159 168 177
7 107 115 123 132 141 150 161 171 183 195
8 108 117 127 137 148 159 172 185 199 214
9 109 120 130 142 155 169 184 200 217 236
10 110 122 134 148 163 179 197 216 237 259
11 112 124 138 154 171 190 210 233 258 285
12 113 127 143 160 180 201 225 252 281 314
13 114 129 147 167 189 213 241 272 307 345
14 115 132 151 173 198 226 258 294 334 380
15 116 135 156 180 208 240 276 317 364 418
16 117 137 160 187 218 254 295 343 397 459
17 118 140 165 195 229 269 316 370 433 505
18 120 143 170 203 241 285 338 400 472 556
19 121 146 175 211 253 303 362 432 514 612
20 122 149 181 219 265 321 387 466 560 673
21 123 152 186 228 279 340 414 503 611 740
22 124 155 192 237 293 360 443 544 666 814
23 126 158 197 246 307 382 474 587 726 895
24 127 161 203 256 323 405 507 634 791 985
25 128 164 209 267 339 429 543 685 862 1,083
26 130 167 216 277 356 455 581 740 940 1,192
27 131 171 222 288 373 482 621 799 1,025 1,311
28 132 174 229 300 392 511 665 863 1,117 1,442
29 133 178 236 312 412 542 711 932 1,217 1,586
30 135 181 243 324 432 574 761 1,006 1,327 1,745

目標リターンがはっきりしていれば、許される損失の範囲もはっきりする

例えば、今から10年間で2倍の200万円を目指すなら、年間平均7-8%で運用する必要があります。株式投資は上手くいくときもあれば、そうでないときもあります。もし、1年目で-10%になってしまった場合、元金100万円を回復するには翌年に1/0.9-1=11%のリターンを出す必要があります。この程度なら、多くの人は心が折れることなく挑戦を続けられるでしょう。前述したジョギングの例ならば、ある日は疲れ気味だったので2kmしか走りませんでしたが、翌日は少しだけ頑張って4km走ったようなパターンです。しかし、仮に1年目に-50%になってしまった場合、元金100万円を回復するには、翌年に1/0.5-1=100%のリターン、つまり倍にしなければなりません。

大失敗したらどう対応する?

こうなると、かなり一発狙いで大きなリスクをとることにつながる恐れが生じてきます。ジョギングの例ならば、少し異なりますが、風邪で2~3日休んでしまった場合、復帰早々に10km以上走るようなパターンです。これは危険です。いきなり10km走ると、体調を余計悪化させてしまう可能性が高いからです。

このような場合、風邪から復帰したら、初日は1km、翌日は1.5km、翌々日には2kmと徐々に増やしていくことが最も望ましい方法です。当然、当初の目標である1ヶ月で100kmに届かない可能性があります。もしかしたら、85kmくらいで終わるかもしれません。それでも、無理をして一気に挽回しようとする方が、結果的には50kmくらいしか走れない場合が多いのです。

ですから、もし1年目に-50%という散々な結果となった場合、2年目に100%のリターンを狙うのではなく、例えば、2年目は+5%、3年目は+7%のようなリカバリー策を考えることが重要になります。結果的には、“10年間で2倍”という当初の目標には届かないかもしれませんが、一発勝負を挑んで大幅な未達となる懸念は小さくなります。

何年後にいくらの資産が必要なのかを決め、達成に向けて丁寧に、柔軟に計画を見直すのが大事

重要なことは、まずは最終目標である「何年後にいくらの資産が必要なのか」を明確に定め、それを達成するための細かい計画を作成することです。そして、その途中で予想外のハプニングが発生した時には、それに対応して、時として柔軟に計画を見直す冷静さが求められます。株式投資では“大負けしない”ことは重要です。そして、当初の目標である「何年後にいくらの資産が必要なのか」は、みなさんの年齢次第で大きく異なります。株式投資は、行き当たりばったりではなく、年齢を考慮したうえで、常に目標と計画が重要なのです。

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