ファナックの株主還元発表を読み解いてみよう

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株主還元方針発表で急騰したファナックの株価

2015年4月27日にファナック(6954)が、以下のような株主還元方針を発表しました。これを受けて、翌日28日の株価はザラ場で+6.6%まで上昇し、出来高も前日比+3.4倍増の大商いとなりました。</p

株主還元の影響を考える上でとても良い教材ですので、一つ一つ読み解いていきましょう。</p


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ファナックの株主還元方針(プレスリリースより抜粋)

1.配当について</p

当社は、平成 19 年 3 月期より現在に至るまで、30%の連結配当性向を表明し、継続して実行してまいりました。株主の皆様への長期的な利益還元を更に充実させるため、平成 27 年 3 月期より、連結配当性向60を基本方針として実施することといたします。</p

2.自己株式取得について</p

成長投資とのバランスを考慮し、株価水準に応じて、今後5年間の平均総還元性向を最大で80%とする範囲内で自己株式取得を機動的に行います。</p

3.自己株式の消却について</p

自己株式の保有は発行済株式総数の5%を上限とし、それを超過する部分は原則として毎期消却してまいります。</p

配当性向とは何か?配当性向の引き上げは株価にはポジティブニュースか?

配当性向とは、企業が純利益から配当に回す割合を表す指標です(配当金額/当期純利益×100(%))。配当性向が低い企業は、株主に配当する代わりに社内に現金を溜め込むため現金及び純資産が積み上がり、配当性向が高い企業ほど現金及び純資産は積み上がりにくくなります。</p

ファナックは、これまで30%であった配当性向を60%に引き上げるとしています。つまり、仮に当期純利益が一定であれば、株主に支払われる配当金は従来よりも増加することになり、株価が一定であれば配当利回りが上昇することになります。ファナックは超高収益企業であり、もうすでに十分な現金及び純資産を積み上げているために、利益を株主に還元するという意思が素直に歓迎されたようです。</p

ただし、注意しなければいけないことは、単純に配当性向が高いことが全てポジティブニュースではないことです。現金や純資産が十分に積み上がっていない企業が配当性向を引き上げても、むしろ財務基盤の不安定さが高まることが懸念される可能性があります。</p

また、内部留保よりも増配を選んだということは、魅力的な再投資先がなく、成長機会が縮小することを示唆する場合もありますので、やや注意が必要です。このため、配当政策の変化については、個々のケースごとに精査し、評価・判断する必要があると言えましょう。</p

自社株(自己株)買いは常にポジティブニュースなのか?

ファナックは、「成長投資とのバランスを考慮し、株価水準に応じて、今後5年間の平均総還元性向を最大で80%とする範囲内で自己株式取得を機動的に行います」、としていますが、ここでいう「総還元性向」とはどのようなものでしょうか?</p

総還元性向とは、(年間の配当金総額+自己株式取得額)÷の当期純利益で計算されるものです。つまり、その年に稼いだ利益の内、何%を株主に還元するかを示すものです。</p

仮に通期の純利益が100億円の企業が、年間に20億円の配当金と、30億円の自社株式取得額を行ったとすると、総還元性向は50%になります{(20億円+30億円)÷100億円}。</p

ファナックは年間の配当性向を60%にすると表明しているので、残りの20%については、5年間で総還元性向を80%にするために自社株買いを行うことになります。</p

自社株買いが株価上昇につながりやすい背景は前回の記事「増配・自社株買いの発表で株価が上がるのはなぜか?」をご覧ください。</p

 

自己株の「消却」とは何か?好材料なのか?

ファナックは「自己株式の保有は発行済株式総数の5%を上限とし、それを超過する部分は原則として毎期消却してまいります。」と発表しています。</p

実は、自社株買いを行った後、上場企業には①自己株を保有し続ける、②自己株を処分する、③自己株を消却する、という3つの選択肢があります。</p

自己株の処分というのは、手に入れた自社株を再度第三者に売却することです。市場の株式が放出されるため、基本的には自社株の処分(=売却)は株価にネガティブな連想を生みます。</p

自己株の消却は、読んで字のごとく、自社株を消し去ってしまうことです。字面からポジティブなイメージは感じられませんが、株が外部に放出されるリスクが無くなることから、好感される傾向にあります。</p

是非みなさんも、株主還元のプレスリリースを読んでみてください。また、楽天証券レポートなど、証券会社のレポートにも自社株買いの予定リストが掲載されることがあります。証券会社のレポートは論点が整理されているので、いくつか口座を持っておくと無料で情報収集できて便利です。「投資情報が充実した証券会社は?」参考にしてみてください。</p

 

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