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株価上昇の具体的な動きを見極めよう
株価、つまり、株の値段が常に変わることは、何度か説明してきました。また、株価が上がる時は、その株を欲しがっている人がいる時だということも、タレントの後援会への永久会員権に例えて説明しました(「株は値段が常に変わるもの」)。ここでは、もう少し、具体的な動きを見ていきます。
株価が上がる時は、実需要因と虚偽要因の2つが考えられる
株価が上がる時は、主に2つの要因で支配されると考えられます。1つは実需要因、もう1つは虚偽要因です。ちょっと難しい言葉かもしれません。まず、実需要因とは、平たく言うと、「私にその株を売ってくれ、譲ってくれ」というリクエストが多くなることです。そのリクエストを出している人(=投資家)は、その会社の業績が将来良くなる、もっと良くなると考えて、今のうちに株を買っておこうとしています。同じような考えの人が増えれば増えるほど、その会社の株価は上昇することになります。
大勢のお客さんが買いに来たら、高く売るのは当然のこと
魚屋さんにアジが2~3匹残っていますが、今日はアジアを買いたい人が何十人と集まってきました。近頃はアジが採れなくなったので(注:アジが採れなくなったことは、アジの将来価格を高めることになるのです)、今あるうちに食べたいというお客さんが大勢です。確かに、「早い者勝ち」という考え方もありますが、あなたが魚屋さんならば、当然、アジの値段を上げるはずです。そんなに多くのお客さんが欲しいなら、一番高い値段で買ってくれる人に売る…というのは、商売では基本中の基本です。株の値段も同じような仕組みで上がるのです。
虚偽要因で株価が上がる場合もよくある
次に、虚偽要因です。これは、その会社に関して、根拠のない情報を拡散させて、株価を上げようとする企みです。何の根拠も証拠もないのに、「あの会社はこれから良くなるぞ」「あの会社は、今度すごい新商品を出すようだ」といった類のニュースを流していく動きは、決して少なくないのです。こうした根拠のない情報を意図的に拡散させることは、「風説の流布」と呼ばれており、立派な犯罪になります。刑事事件の対象になりますから、決して行わないで下さい。それでも、特に最近は、SNS等を用いた虚偽情報の拡散は後を絶ちません。
虚偽要因でも大勢のお客さんが来たら、高く売るのは当然のこと
先程の魚屋さんのアジで例えると、「アジを食べると長生きできる」「アジの身には、抗がん剤と同じ機能がある」「アジを食べると10歳若返る」のようなニュースが流れると、大勢の人が買いに来ます。当然、アジの値段は上がります。こうした、根拠のない明らかな偽情報が流れた場合、それが嘘だとわかるまでは、大勢の人が信用してしまうことが多いのです。そして、このような偽情報を流した人(ここでは、ある漁師さんとします)だけが、利益を得ているのです。
特に、短期間で急上昇するような局面は注意が必要
中級者レベルになったみなさんに必要なのは、株価が上昇する時、とりわけ、短期間で急上昇する時、その背景をしっかり抑える習慣を身に付けましょう。この株価上昇は、本当に実需要因なのか、それとも、何かいかがわしい虚偽要因があるのではないか、見極めなくてはいけません。株価が上昇したから「遅れてなるものか」と単純に付いていくのは、絶対にやってはいけないことです。
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