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金利の変化と株価について考える
株初心者、株中級者を含め、多くの方が、「金利上昇は株式市場にはネガティブ、その逆はポジティブ」といった趣旨のニュースをよく耳にされると思います。
2015年6月現在、米国市場では「金融引き締め=金利上昇」の時期が議論されています。最近は、景気に関してポジティブなニュースが出ると「金利引き上げ時期」が近づいてきたことが意識され、NYダウが下落した」と解説されることがよくあります。
これとは対照的に、日本の株式市場では、「日銀、政府による金融緩和政策(低金利)の継続期待から株価上昇も期待できる」、といった意見をよく聞きます。
金利上昇(低下)は「理論株価」の低下(上昇)につながる
なぜ「金利上昇は株式市場にはネガティブ、その逆はポジティブ」といわれるのでしょうか?まずは、金利と株価の関係について、ファイナンス理論から考えてみます。少し小難しいですが、すぐ終わりますので、ちょっとだけご辛抱ください。
専門的な説明は省きますが、ファイナンスの教科書では、理論上の株価は、配当割引モデルやDCF(ディスカウントキャッシュフロー)モデルなど、将来の配当やキャッシュフローを、「現在価値」に「割り引いて」求められるとされています。
例えば、n年後の配当(キャッシュフロー)C円を「現在価値」に「割り引く」ときは、割引率をr%とすると、現在価値=C/(1+r)n と表現されます。
分母である「割引率」は、長期金利と将来の株価変動リスクによって求められるため、金利が上昇(低下)すると、将来の業績予想が変わらなくても、現在価値、すなわち理論上の株価は低下(上昇)することになります。
現実の株価は理論通りに動くのか?
“え、株価はそんな難解な理論に基づいて動いているのか?”と驚かれた方がいらっしゃると思いますが、その一方で、“いやいや、株価は理論通りには動かないよ”と考えた方もおられるのではないでしょうか。
実際のところどうかといいますと、多くの投資家にとって「金利上昇(低下)→理論株価の低下(上昇)」は一種の常識として定着しています。そのため、金利上昇(低下)期待が高まると、理論株価の低下(上昇)が反射的に連想される傾向にあります。
また、企業分析や株価評価の専門家である証券アナリストは、配当割引モデルやDCFモデルを使って理論上の株価を求め、将来の業績見通しや金利見通しの変更に伴い、逐次、理論株価を修正しているのも事実です。
ただし、日々の株価が証券アナリストの算出する理論株価通りに正確に動いているとは限りません。むしろ、理論通りに動かない日の方が多いと言えましょう。今後ご説明していきますが、金利の見通し以外にも、株価に影響する要因は沢山あり、金利以外の要因の影響が大きければ、金利上昇期待にも関わらず株価が上昇するといったケースもままあります。
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下図は、日本の個人投資家がどんなトピックに注目しているかを集計したもので、56.5%もの個人投資家が日本の金利動向に注目していることが分かります。そして、金利動向以上に企業業績や為替動向に注目していること
株初心者、中級者のみなさんが株価を考える時、以下のように頭を整理しておくとよさそうですね。
- 多くの投資家は「金利上昇(低下)→理論株価の低下(上昇)」を連想する
- ただし、金利は株価決定の「一要因」にすぎない
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