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株初心者・中級者がぶつかる壁
「株価を大きく変動させる「次期予想」の見方」では、上場企業が開示する決算短信の表紙(1ページ目)最下段にある次期予想(会社予想)の重要性についてお話しました。外れることも多い「会社の目標値」くらいの感覚で理解しておくべき数字ですが、この会社予想によって株価が大きく動く事実があるため、株価の方向感を占う上でとても重要だという話です。
しかし、株式投資に入門した株初心者・中級者のみなさんは、いつかこんな事態に遭遇することになるでしょう。
- 会社が前期比で大幅増益(例えば+25%)の予想を公表したのに、発表翌日に株価が下落
- 会社が前期比で大幅減益(例えば▲25%)の予想を公表したのに、発表翌日に株価が上昇
これは一体どういうことでしょうか?
株初心者・中級者も知っておきたい「市場コンセンサス」の存在
会社が公表した次期予想の方向(増益/減益)と、株価の方向(下落/上昇)が逆になってしまう要因の一つに、「市場コンセンサス」があります。
「市場コンセンサス」というのは、証券会社のアナリスト(株の調査・分析の専門家)の業績予想の平均値のことです。例えば、上場企業A社の営業利益を証券アナリストXが3,000億円、証券アナリストYが3,500億円、証券アナリストZが4,000億円と予想している場合、A社のコンセンサス営業利益は3,500億円と言われます(アナリスト3人の平均)。
例えば、A社が2016年3月期の営業利益は前期比+25%増の3,000億円になるとの予想を公表したとしましょう。営業利益の水準が3,000億円もある大企業で前期比+25%もの増益は大変立派ですし、手放しで喜びたいところです。
しかし、A社の新製品が海外で飛ぶように売れていることが報道され、円安が進んでいることが分かっていたらどうでしょうか?証券アナリストたちはこぞって強気な予想をします。2016年3月期の営業利益に関する「市場コンセンサス」が前期比+46%の3,500億円に達し、多くの投資家がA社の株を買った結果、A社の株価は会社が2016年3月期の予想を公表する前にグングン上昇、などということもよくある話なのです。
会社が2016年3月期の予想を公表する日には、投資家は3,500億円を超える数字が発表されるのではないかと期待で胸を膨らませています。そんな中で、3,000億円と公表されたらどうでしょうか?証券アナリストや投資家は自分たちが勝手に期待しただけなのですが、会社の公表値に対して「えっ、何でそんなに少ないの?」という反応をすることになり、大幅増益にも関わらず、株価が下落するといった事態につながるのです。このような事態は、特に決算発表シーズンでは、頻繁に見られています。
「市場コンセンサス」はどこで何を見ればよいのか?個人投資家も見れるのか?
「市場コンセンサス」というと、何だか株式市場のプロの間だけでヒソヒソと話されている内容のような印象があるかもしれません。確かに昔はそんな趣もありましたが、今では、株初心者を始めとする個人投資家の方も、機関投資家と同じ「市場コンセンサス」を手軽に確認することができます。
「市場コンセンサス」というのは、証券アナリストの予想の平均値ですから、各証券会社のアナリストの予想を誰かがまとめて集計しています。そのため、「市場コンセンサス」を公表している主体はいくつかあるのですが、ここではIFIS(アイフィス)のコンセンサスを紹介しておきたいと思います。精度が高く、大手証券会社や機関投資家にも参照されています。
IFISのコンセンサス予想を無料で閲覧できる証券会社として、SBI証券、楽天証券、マネックス証券の3社が挙げられます(何れも口座開設無料です)。中でも楽天証券では、IFISのコンセンサス予想を表示するページに、Longine(ロンジン)の決算速報コメントのリンクが掲載されており、コンセンサスの確認と、決算をうけてLongine(ロンジン)のアナリストがその決算をどう評価したのかが直ぐにわかるようになっています。
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決算に対する理解を深めるために不可欠であり、転ばぬ先の杖ともなり得る「市場コンセンサス」、是非一度触れてみてください。
2015年4月27日 14:25公開
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