20代の株入門

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目次

20代では自己投資をしつつ、少額資金で投資の経験を積みたい

20代の方々は、一般的には、学校を卒業して就職して、ようやく社会に慣れ始めてきた年代です。20代のうちに結婚して子供が生まれ、立派に所帯を持つ人もいますが、そういう既婚者も含めて、大半の方が“将来に向けた貯蓄”を意識し始めるのではないでしょうか。ただ、一部の方を除けば、年収もまだそれほど高くないはずですから、必然的に、投資資金が豊富な方は少ないことでしょう。この時期は、しっかりと自己投資をしながら、一方では、少額資金で投資の経験を積むというスタンスが求められます。

20代で少額資金から投資の経験を積む意義は大きい

20代のみなさんの中には、「株式投資は、資金的な余裕が出来る30代、40代以降に始めれば十分だ」と考える人が多いかもしれません。ところが、これも後々説明していきますが、投資で成功するためには、一定の経験が必要不可欠です。「投資」はギャンブルではありませんから、基本的に“ビギナーズラック”は起きないと考えて下さい。株式投資も例外ではありません。それだからこそ、余裕資金の少ない20代のうちに少額資金でスタートして、投資の経験を積み始める意義が大きいのです。

少額でも実際に自分自身の「お金」を投資しよう

また、20代の若い方に見られる傾向としては、投資に興味を持つのはいいのですが、本や教材で投資を学ぶところで立ち止まってしまう人が多いことです。つまり、あくまでも、知識・学問としての投資で終わってしまうケースです。残念ながら、このような場合は、経験を積んだとは言えません。少額資金で構わないので、実際に自分自身の「お金」を投資することが重要です。少額とは言え、自分自身の大切な「お金」を投資することで、初めて真剣に投資と向き合うことが可能になるのです。

「鯛も鮃も食うた者が知る(タイもヒラメもくうたものがしる)」という諺がありますが、これは、「鯛やヒラメの美味しさを何度くり返し聞いても、一度でも実際に食べてみることには及ばない」ということに由来し、『いくら見たり聞いたり書物を読んだりしても、実際に経験しなければ物事の本質は見えてこないこと』を表します。もっと有名な諺には「百聞は一見に如かず」というのがありますね。実際に自分のお金を投資して初めて感じる高揚感や恐怖感は、知識とはまた別次元で重要なのです。

企業研究がおすすめ

こうした株式投資の実践に加えて、20代の若い方々にお薦めしたいのは、企業研究(=銘柄研究)です。実は、世間一般で語られている企業のイメージと、その企業の株価は必ずしも連動していません。一般的には、世間の多くの人が素晴らしいと思っている企業は、既に業績のピークを通り越しており、株価は下落傾向にあることが少なくないためです。お花見シーズンに、みんなが“今が見頃だ、満開だ、最高だ”と騒いでいるのを聞いた後で見に行った場合、桜は既にピークを過ぎていることが多々あることに似ています。

約10年前に就活人気ランキング上位だった会社の株価はどうなった?

ここで一つ例をみてみましょう。次の図表は、2005年3月10日に株式会社毎日コミュニケーションズが発表した「2005年度大学生就職人気企業ランキング調査結果発表」において、文系・理系のそれぞれで人気トップ10に入った企業の株価が、約10年後の2015年2月27日までにどれだけ上がったか、下がったかを示したものです。

文系と理系での重複は除外したり、JTBやサントリーのように就活人気ランキング上位であっても、2005年3月10日時点で上場していなかった企業は対象外としたりしていますので、今回の集計対象は15社です。この中で、約10年の間に株価が上がった会社は9社あります。15社中の9社なら優秀だと思われるかもしれません。しかし、東証一部上場企業全社の株価の動きを示す東証株価指数(TOPIX)を上回る上昇率を示したのは、わずか6社。日経平均株価を上回る上昇率を示したのはトヨタ自動車と電通の2社しかないのです。仮に、約10年前の就活人気ランキングに基づいて株を買ってそのまま保有した場合、投資の成果としては、決して満足いくものではなかったと言えましょう。

つまり、重要なのは、今現状の姿ではなく、5年先、10年先はどのような企業になっていくのかを、経済情勢や国際情勢などを踏まえて、自分なりのシナリオを作ることなのです。仮に、そのシナリオに沿った投資をして、不幸にも全く外れてしまった場合でも、少額資金出始めた投資ですから、被る損失は知れています。世間一般の評判をうのみにすることなく、自分で企業研究をする習慣を身に着けてください。これを邪念無しで素直に取り組むことが出来るのは、20代の方々が一番となります。

2005年の就活人気ランキング上位企業の株価パフォーマンス(2005/3/10-2015/2/27)

出所:SPEEDAをもとに株1作成
注1:日本航空は2010年2月に上場廃止。2012年9月に再上場したが株価パフォーマンスは-100%と計算
注2:フジテレビについては、フジ・メディア・ホールディングスの株価で計算

ネット証券で無料閲覧できる情報は就職活動にも使える

株式投資からは少し話題がそれますが、20代のみなさんの中には、就職活動や転職活動を行っている人もいらっしゃるかと思います。そこで、就職や転職の際に見ておくべきは、転職サイトなどではなく、会社のIRサイトとアナリストレポートなのです。会社のIRサイトでは、会社からの業績報告や経営者のメッセージを見ることができます。アナリストレポートでは、外部の専門家がその会社をどう見ているかを読み取ることができます。ネット証券の口座を開設してこうしたツールを無料で活用できる体制を作るのは、就職活動・転職活動対策にもなりますね。

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