スターバックスとマクドナルドを比べてみる

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目次

株初心者は身近な企業を見てみよう

株1(カブワン)」の特集「身近な企業に投資する」では、株初心者にも身近な企業を取り上げて、株式投資の面白さや、投資対象を選ぶ時の視点・考え方をお伝えしたいと思います。

米国・ボストンに本社がある世界で有数の運用会社フィデリティの敏腕ファンドマネージャーであったピーター・リンチも家族からいま何が流行しているのか、好みの小売店や外食店を聞くことを大事にしていました。個人投資家でもそうした調査ではプロの投資家よりも、情報を早く入手することもできそうです。

さて、ネット証券の口座を開設したばかりで、株式投資にはまだ躊躇している55歳の主婦・相場翔子(アイバ・ショウコ)さんが、ファンドマネージャー歴35年の65歳の株1博士(カブワンハカセ)に株式投資を始めるにあたって、どのように投資対象を選択すればよいかを聞いています。聞き耳を立ててみましょうか。

株式投資で最も重要なことは、自分が何を知っていて、何を知らないかを理解すること

相場翔子(以下、相場):博士、証券口座を開いたのですが、株初心者の私にはどの銘柄に投資をしてよいのか分かりません。株式投資に興味はあるのですが、どの銘柄を買えばよいのでしょうか?

株1博士(以下、株1):株式投資でもっとも重要なことは、自分が何を知っていて、何を知らないかを理解することだよ。

相場:博士、さっそく意味が分かりません。私は株初心者ですよ(笑)。もっと丁寧に教えて下さい!

株1:おー、すまん、すまん。それではもう少し噛み砕いて説明するとしよう。そもそも株価は将来の企業の業績がどうなるかという期待と思惑によって動くことがほとんどなんだ。もちろん、テレビで報道される、物価がどうの、金利がどうの、為替がどうのということも株価には関係はするけど、株価を予測する上でもっとも重要なのは、その企業の業積だね。

相場:業績と「自分が何を知っていて、何を知らないか」ということは何が関係するのでしょうか?

株1:企業の株価に影響があるのは、将来の業績に関する期待や思惑と言ったね。相場さんは、日本で上場する約3,500社の中で、業績を理解しやすくて、見通しの立てやすい企業はどんな会社?

相場:それは日常生活に身近な企業でしょうか。わたしは主婦なので、日中はお友達とお茶をしたり、買い物をしたりします。食品や化粧品などの消費財や小売業、外食業などの企業は商品も手に取ったり直接サービスをうけたりすることができるので、当然イメージしやすいですね。一方で、私は機械に弱いので、スマートフォンやインターネットに関係する企業は本当によくわかりません。
株1:では、どんなところでお友達とお茶をするの?

相場:名古屋の実家で昔の友達と会うときはコメダ珈琲が多いのですが、遠方から来るお友達がいる場合には駅に入っているスターバックスが多いですね。あと、ひとりで手軽にコーヒーを飲みたいときはマクドナルドやコンビニの100円コーヒーですかね。

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スターバックスとマクドナルドの株価を比べてみる

株1:それでは、スターバックスとマクドナルドの株価を見てみるとしよう。図表1は、米国で上場しているスターバックスとマクドナルド、それと米国の株式市場を代表する株価指数S&P(エス・アンド・ピー)500の推移だ。日本人が投資をすることを考えて、米ドルを円換算し、2000年1月末を100として指数として表示している。

図表1:米国のスターバックスとマクドナルド、S&P500の円換算株価パフォーマンス

出所:SPEEDAをもとに株1編集部作成
注:2000年1月末=100

相場:これって、もしかして、2000年初めにスターバックスに投資をしていたら資産は14倍近くになっているということでしょうか。

株1:その通り。

相場:うそでしょう!?私、2000年ごろから既にスターバックスはよく知っていたし、この店どんどん増えそうだわ、と思ってました。なんだか、身近な企業だけに、株式に投資をするということ自体思いつきませんでした。

株1:スターバックスだけじゃないぞ。米国の代表的な株価指数であるS&Pそのものが、円換算で2000年1月末比で2倍近くになっているし、マクドナルドも3倍近くになっている。世界で店舗を拡大できる外食産業の成長余地は大きいぞ。

スターバックスの株価はまだ上がるのか?業績拡大余地とリスクを考えてみる

相場:でも、スターバックスの株価は14倍にもなったので、さすがにもう株価は上がらないのではないでしょうか?

株1:それはどうだろうか?マクドナルドは世界で36,000店舗あるのに対して、スターバックスはまだ21,000店舗だ。スターバックスもマクドナルドと同じ規模で世界に店を展開できると考えれば、まだまだ拡大余地があると思えるけどなあ。

相場:業績が拡大するって、どこまで拡大すると考えればよいのでしょうか?

株1:図表2は、スターバックスとマクドナルドの営業利益を比較したものだ。2013年度の営業利益は、マクドナルドは約8,500億円、スターバックスは約3,150億円。まだまだ、マクドナルドの方が大きい。

相場:マクドナルドってこんなに利益が出ているんですか!?

株1:マクドナルドは、フランチャイズ制度をうまく活用しており、利益率が高い。マクドナルドの営業利益率が30%程度なのに対して、スターバックスは20%程度だ。マクドナルドのすごさはハンバーガーそのものというより、ビジネスモデルにすごさがあるといえそうだね。

相場:じゃあ、スターバックスも工夫の余地があるといえますね。

図表2:スターバックスとマクドナルドの営業利益(百万円)

出所:SPEEDAをもとに株1編集部作成
注:スターバックスは9月決算のため2014年度はN/A

相場:わたしはスターバックスの雰囲気が好きだからよくいくけど、あの雰囲気を気に入れば世界でもまだまだ広がる可能性はありそうですね。でも、あまりにも店が多くなりすぎてさすがにちょっと飽きてきそう。ブルーボトルのようなコーヒーをおいしく出す店も出てきて競争は厳しくないのかしら。海外でも、日本のコンビニのような100円コーヒーが普及すると競争が厳しくなりそうだけど。

株1:相場さんは、コーヒーには詳しそうだね。その調子だ。業績を予想する場合には、会社の出店余地や競争環境を考えるのが大事。業績の伸びがみんなの期待よりも高い場合にはより株価は上昇しやすいんだ。そうしたみんなが気づいていない点を考えたり、まだあまり知られていなくて今後大きく伸びそうな企業を探すのも一つの方法だね。

相場:なるほど。私はコーヒーが好きだから、自分の得意なテーマを考えればいいんですね。それなら株初心者の私でも入りやすいかも。

株1:そう。だから、さっき「自分が何を知っていて、何を知らないか」といったんだ。

経営者が変わることも株式投資の大きなテーマの一つ

相場:ところで、マクドナルドは、中国工場での品質問題があったわよね。博士は、株価は将来の業績の期待が株価を左右するとおっしゃいましたけど、品質問題で株価は相当下がったんでしょうね。

株1:確かに、品質問題が明らかになった直後は株価が下がりはしたけれども、最近は持ち直しているね。

相場:なぜ株価が再び上昇するのですか。品質問題で消費者が離れれば、業績は悪化して、株価は下がるはずでしょ?

株1:米国のマクドナルドは経営者も交代して、今後の業績回復に期待が出てきたともいえるんだ。まあ、マクドナルドの問題は品質問題もあるが、世界の人たちの生活水準が上がる中で、食の選択肢が増え、ハンバーガーそのものが以前よりも魅力ある食品ではなくなってきているというのもある。また、健康志向とは相いれないイメージも強い。そうしたテーマも経営者が今後取り組んでいかなければならないことだね。

相場:なるほど、経営者が変わることで業績が変わることもあるものね。

株1:経営者が変わるということも株式投資では大きなテーマの一つ。今日は、この辺りにして、ドトールでいっぱいコーヒーでもどうかな?

相場:ドトールはタバコくさいから嫌です。スターバックスにしましょう。ところで、博士、なぜ今回は米国のマクドナルドを取り上げたのですか?日本で上場している日本マクドナルドホールディングもあるでしょう?

株1:いい質問だ。その答えは、スターバックスですることにしよう。

まとめと次回予告

株1博士と相場さんの会話はいかがでしたか?今回のポイントは、株価を考える上で大事なのは、企業の将来の業績だということです。そして、株初心者の頃は、企業の業績を考える上では、自分にとって身近で理解しやすい企業を研究対象に選ぶのが良いというお話でした。

株1博士は今回なぜ、米国の企業を取り上げたのでしょうか?実は日本でもマネックス証券を中心に、個人投資家でも米国株に手軽に投資できる環境が整ってきましたので、次回以降は米国株のすごさにも触れていきたいと思います。

次回の記事を読む前に、株式投資について1から学びたい方は「株式投資って、一体何のことなの?」をご覧ください!

2015年4月12日 17:50 公開

→次へ(小売業も世界展開できれば潜在力は無限大?)

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